石川 内灘町 液状化きっかけに低い土地に土が流れ込んだか

今回の地震で液状化の被害を受けた石川県内灘町について地盤工学の専門家が現地調査を行ったところ、一部の地域では地盤の液状化をきっかけに土が低い土地に流れ込む現象が起きていたことが新たに分かりました。

28日、内灘町で現地調査を行ったのは、地盤工学に詳しい高知大学の原忠教授です。

調査は町内の3つの地区を対象に主に目視と計測で行われました。
その結果、町の北側にある西荒屋地区では液状化で地盤が緩んだ低い土地に向かって土が流れ込む現象が起きていたことが新たに分かりました。

傾斜になっている部分の土を支える役割をしていた低い土地が液状化したことで土の流れ込みが相次いだとみられています。

また、町の南側にある鶴ケ丘地区の旧消防庁舎の調査では2階建ての庁舎はくい打ちの基礎があったことで地盤の液状化を免れたとみられることが分かりました。

一方で、その周囲の地盤は液状化が進みおよそ20センチ、沈んでいたことが確認されました。

原教授は、これらの現象は町の広い範囲で起きていて今回の地震で大きな被害を出した地盤の激しい隆起と関連しているとみて今後、さらに詳しい地盤調査を行うことにしています。

原教授は「液状化で道路に凹凸ができ、移動が困難になったほか、住宅が傾いて住むことが難しくなる甚大な被害が調査でも明らかになった。円滑な避難のためにも、全国の道路や公共施設で液状化対策を検討する必要がある」と話していました。

地区の住民「この家にはもう住むことができない」

石川県内灘町の鶴ケ丘地区に住む中田勝さん(79)は、今回の原教授による調査に対して地震直後に液状化によって、地表に砂が吹き出したことを証言しました。

原教授は液状化による「噴砂」と呼ばれる現象が繰り返し起きたとみています。

中田さんによりますと、吹き出した砂は水分を多く含み踏み込んだ足が沈む状態で、避難する際、家族で支え合ったり車につかまったりしながら少しずつ進んだということです。

中田さんは「この家にはもう住むことができないと思っています。およそ50年住んでいて、こんな状況になってしまい、今後、どうするかは考えられないです」と話していました。

また、西荒屋地区に住む岡部修さん(85)の自宅は、液状化によって基礎部分の土が低い土地に向かって流れ込んだ影響で傾いたことが今回の調査で確認されました。

岡部さんは「私が苦労して建てて家族で一緒に住んでいた家なので、愛着があり、悔しいです」と話していました。