【26日詳細】戦闘休止に向けた交渉 まとまるか不透明

イスラエル軍は、イスラム組織ハマスの重要な拠点があるとするガザ地区南部の街を包囲し攻勢を強めています。激しい戦闘が続く中、支援物資の配給を待つ人や国連の施設に避難した人など多くの市民が犠牲となっていて深刻な人道危機が続いています。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間1月26日の動きを、随時更新してお伝えします。

ガザ地区の保健当局「これまでに2万6083人死亡」

イスラエル軍は、ハマスの重要な拠点があるとするガザ地区南部のハンユニスや北部などで攻撃を続けていて、26日も空爆によってハマスの司令部や武器庫などを破壊したと発表しています。

一方、ハマス側も対戦車ミサイルを発射するなどして応戦していて、激しい戦闘が続いているということです。

ガザ地区の保健当局は26日、イスラエルの攻撃でこれまでに2万6083人が死亡したと発表しました。

戦闘休止の交渉 米国など働きかけ強めるも 双方主張に隔たりか

こうした中、カタールやエジプトの仲介で人質の解放や戦闘の休止に向けた交渉が進められています。

アメリカの有力紙ワシントン・ポストは、数日中にCIA=中央情報局のバーンズ長官がヨーロッパを訪問し、イスラエルの情報機関のトップやカタールの首相などと面会して協議すると伝えていて、交渉の進展に向けた働きかけを強めるものとみられます。

イスラエルの有力メディアハーレツは、イスラエルとハマスの双方は、戦闘を35日間休止し、人質の解放と引き換えにイスラエル側が収監しているパレスチナ人を釈放することで大筋では一致していると伝えています。

一方で、ハマス側が完全な停戦の実現を合意に盛り込むよう求めているのに対し、イスラエル側がこれを拒否しているとも伝えていて、依然として双方の主張に隔たりがみられるなか、交渉がまとまるかは不透明です。

フーシ派による船舶攻撃 米中高官が会談し対応協議へ

中東の紅海でイエメンの反政府勢力フーシ派が船舶への攻撃を繰り返していることをめぐり、アメリカの有力紙は、アメリカと中国の高官が会談して対応を協議すると伝えました。

これはアメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が25日、アメリカの複数の当局者の話として伝えました。

これによりますと、紅海でイエメンの反政府勢力フーシ派が航行中の船舶に対し攻撃を繰り返していることをめぐり、アメリカのサリバン大統領補佐官が中国の王毅外相とタイで会談し対応を協議するとしています。

アメリカ ホワイトハウスはこれまで記者会見で、イランがフーシ派に武器や弾薬を供与するなど支援を続けているとして、イランと友好関係にある中国に対し、緊張緩和に向けてイランへ働きかけを行うよう呼びかけていました。

アメリカは高官どうしが直接会談することで、中国側に対応を強く求めるものとみられます。

また、両者の会談が実現すれば、1月13日に行われた台湾総統選挙後初めてで、両国の関係の安定化を目指すことについても話し合われるとみられます。

米中両国 サリバン大統領補佐官と王毅外相が会談と発表

米中両政府は、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官と中国の王毅外相が、タイの首都バンコクで会談すると発表しました。

ホワイトハウスの発表によりますと、安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官と中国の王毅外相との会談は、26日から2日間の日程で行われます。

発表では「戦略的な意思疎通を維持し、関係を責任を持って管理するために、去年11月のバイデン大統領と習近平国家主席の会談での約束を続けるものだ」としています。

また、中国外務省も、米中両国の合意に基づき、両者がバンコクで会談すると発表しました。

バイデン大統領と習主席は去年11月、アメリカ西海岸のサンフランシスコ近郊で1年ぶりに首脳会談を行いました。

バイデン大統領は「ハイレベルでの外交を維持し、追求していくことになった」と明らかにしていて、サリバン補佐官と王外相の会談はこの一環となります。

CIA長官が仲介の計画か「交渉 真剣な段階に近づく」米政府高官

アメリカの有力紙ワシントン・ポストは25日、関係者の話としてCIA=中央情報局のバーンズ長官がここ数日以内にヨーロッパを訪れ、イスラム組織ハマスに捕らわれている人質全員の解放に向け、イスラエルとハマスの仲介に取り組む計画だと報じました。

具体的には、バーンズ長官は、イスラエルとエジプトのそれぞれの情報機関のトップ、それにカタールのムハンマド首相と協議すると伝えています。

今回の協議について別のアメリカ政府高官は「十分な意見交換が行われ、交渉が真剣な段階に近づいていると考えている」と話しているとしています。

ホワイトハウスの高官は24日、中東地域を担当するマクガーク調整官がエジプトに続いてカタールを訪問したと明らかにした上で、人質の解放に向けて協議を続けているとの認識を示しています。

イスラエル軍によりますと、いまも130人以上が人質として捕らわれているということで、バイデン政権としては、バーンズ長官の派遣によって人質の解放に向け、働きかけを強めたい考えです。

カタールやエジプトが仲介 戦闘休止について協議も進展なし

カタールやエジプトの仲介で、人質の解放のための戦闘休止について協議が行われていますが、今のところ大きな進展は見られていません。

イスラエル側からは、カタールはハマスを支援しているとして不信感を抱く声も出ています。

ただ、イスラエル政府の報道官は25日「ハマスとの密接なつながりがあるからこそ、仲介の役割が務まる」とも述べていて、カタールなどの仲介に一定の期待を示しています。

南部ハンユニスへの攻勢強める ガザの死者2万5900人に

イスラエル軍は、ハマスの重要な拠点があるとするガザ地区南部のハンユニスへの空爆や地上部隊による攻勢を強めていて、25日には市街地での戦闘を専門とする部隊が、建物や地下トンネルなどに潜伏するハマスの戦闘員と激しい戦闘を行っていると発表しました。

一方、ガザ地区の保健当局は25日、北部のガザ市内で人道支援物資を待っていた住民が、イスラエル軍の攻撃を受け、20人が死亡し、150人がけがをしたとSNSに投稿。

これについて、イスラエル軍の報道官はNHKの取材に対し、事実関係を調査中だとしています。

ガザ地区では、24日もハンユニスにある国連の避難施設が攻撃を受けて炎上し、9人が死亡しました。

国連は24日、これまでにガザ地区で国連の施設に住民120万人が避難し、少なくとも340人が死亡したと発表しました。

また、ガザ地区の保健当局は25日、過去24時間で200人が死亡し、これまでの死者数は2万5900人にのぼったとしていて、多くの市民が犠牲になる事態にアメリカなどからも懸念の声が上がっています。

国際司法裁判所への訴え 日本時間26日夜に暫定措置の判断

イスラエル軍がガザ地区で続けている軍事作戦がパレスチナ人に対する集団殺害などにあたり、ジェノサイド条約に違反しているとして、南アフリカが先月、オランダ・ハーグにある国際司法裁判所に訴えた訴訟。

南アフリカは判決までの暫定的な措置として、軍事作戦の即時停止を命じるよう求めていて、裁判所は日本時間の26日夜9時に判断を示すことになっています。

これに対してイスラエルは弁論で「軍事作戦はイスラム組織ハマスの掃討を目的とするもので、パレスチナの市民を標的にしたものではない。ハマスこそイスラエルのせん滅を掲げジェノサイドを行っている」と反論しています。

国際法が専門のブリュッセル自由大学のアンヌ・ラガーワル教授は「暫定措置命令には明らかな拘束力があり、各国には従う義務がある。イスラエルとパレスチナをめぐっては国連のさまざまな機関で決議などが採択されてきたが、国際司法裁判所に訴訟が提起されたのは初めてで特別の意義がある」としています。

一方で国際司法裁判所は、おととし3月、ウクライナに侵攻したロシアに対して暫定措置として軍事行動の停止を命じたもののロシアはこれに応じておらず、今回、裁判所が示す判断にイスラエルがどう応じるのか注目されます。