新世界に期待も「自分で考えること やめないで」専門家が語る

急速に普及が進む、インターネット上の仮想空間メタバースと、AI=人工知能は私たちの生活に何をもたらすのか。

東京都内で3人の識者が対談し、新しい技術に期待を寄せる一方、「自分で考えることをやめないようにすることが大切だ」などと訴えました。

この対談は、メタバースを活用してさまざまな課題を解決しようと設立された業界団体が企画し、「メタバースとAIは人の暮らしに何をもたらすのか?」というテーマで意見が交わされました。

参加したのは
▽脳科学者の養老孟司さんと
▽VR=バーチャルリアリティーに詳しい東京大学名誉教授の廣瀬通孝さん、
そして、
▽国内のAI研究の第一人者と言われる東京大学教授の松尾豊さん
の3人です。

東京大学名誉教授 廣瀬通孝さん

廣瀬さん
「かつては現実のロボットにAIを搭載しようという話だったが、今は仮想空間に自分の分身であるアバターを簡単に作ることができ、そこにAIを載せることも検討されている。メタバースとAIは相性がいいと思う」

などと述べ、メタバースとAIが融合することでもう1人の自分が仮想空間で活動するようなことも将来的に不可能ではないという認識を示しました。

東京大学教授 松尾豊さん

松尾さんは、AIは人工的ではないかという指摘に対して、

松尾さん
「人間の脳にも原理があるわけで、その原理が解明できれば、実はAIと同じようなことを違う方法でやってるんだということが見えてくる。人工なのか自然なのか、区別がなくなる世界が来るのではないかと思うし、そうなると楽しみです」

と話し、人間とAIの知能の境界がいずれなくなっていくのではないかと語りました。

養老孟司さん

これに対して養老さんは、メタバースやAIの発展に期待を寄せながらも、

養老さん
「最近思うのはみんな面倒な人間よりも機械を使う方がいいと思って優秀な人はみんなAIの方に行くが、70億以上ある人間の脳みそを放っておいているのではないかと思う。本当にAIやメタバースと生きる社会とはどういう社会なのかを自分の頭で考えなければいけない。みなさんどれくらい脳を使ってますか。人間にももっと目を向けてまずは自分の頭から整理してほしいという気がします」

最新のアバター

対談を企画したメタバース推進協議会では、
▽人手不足が課題になっている地方の行政サービスをAIやメタバースの導入で手助けする取り組みを進めたり
▽子どもなどへの教育にも力を入れたり
していくことにしています。