UNHCRトップ“再建と同時に破壊のジレンマ ウクライナ支援を”

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のグランディ難民高等弁務官が訪問先のウクライナでNHKの取材に応じ、ウクライナではいまもおよそ1000万人が国内外への避難を余儀なくされているとして、国際的な支援の継続を訴えました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから来月で2年になります。

UNHCRによりますと、今月の時点でウクライナ国外に逃れている人の数はおよそ630万人、国内に避難している人の数はおよそ370万人で、人口の4分の1ほどにあたるおよそ1000万人がいまも住む家を追われたままになっています。

UNHCRのグランディ難民高等弁務官は24日、訪問先のウクライナの首都キーウでNHKのインタビューに応じ「人々が住んでいたところに戻るような大きな動きは見られない。戦時下にあり困難な状況が続く中、戻ることは簡単ではないと懸念しているからだ」と指摘しました。

そのうえで「人々が仕事を再び見つけるまでの間の生活や、破壊された家の修復など生活を立て直すための支援が必要になっている」と述べ、支援の必要性を訴えました。

UNHCRはこれまでに戦闘で破壊された2万7500を超える住宅の修復を支援したということですが、ロシアによる攻撃が続く中で新たに家を失う人も相次いでいて、グランディ高等弁務官は「再建と同時に破壊が進んでいて、大きなジレンマに陥っている」と懸念を示しました。

さらにグランディ高等弁務官は、中東パレスチナのガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中、ウクライナに対する関心が低下しているとして「人道支援を続けるために必要な財政支援がひっ迫している」として、国際的な支援の継続を訴えました。