不妊治療は2022年度から保険適用が拡大され、厚生労働省によりますと、初年度に保険で治療を受けた人の数は37万人余りに上っています。
こうした中、不妊治療の当事者を支援するNPO法人「Fine」は、去年6月から8月にかけて不妊治療や不育症の治療の経験者を対象にインターネットでアンケート調査を行い、1067人から回答を得ました。
それによりますと、95%の人が、仕事を続けながら治療をした経験があると答えています。
一方、4割の人が両立が難しく、退職や転職、休職するなど「働き方を変えた」と回答しました。
このうち
▽もっとも多かったのは退職した人で15%となっているほか、
▽転職した人が6%、
▽休職した人が5%などとなっています。
一方、職場で
▽不妊治療などをサポートする制度があると答えたのは20%で、
▽治療をしていることを周囲に話しづらいと感じている人は81%に上っています。
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不妊治療受けた人 “仕事との両立難しく退職”15%に NPO調査
不妊治療を受けた人のうち、仕事との両立が難しく退職した人が15%に上ることがNPO法人のアンケート調査で分かりました。NPOは「企業での研修の強化など理解を進める取り組みが必要だ」としています。
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NPO法人の松本亜樹子理事は、「不妊治療は突発的な治療が必要となるなど特殊な面がある。教育や情報提供が課題となっており企業での研修など理解を進める取り組みが必要だ」と話しています。
【詳細】不妊治療アンケート調査
不妊治療の当事者を支援するNPO法人「Fine」は、治療と仕事の両立の課題を探ろうと、去年6月から8月にかけてインターネットでアンケート調査を行いました。
不妊治療や不育症の治療の経験がある1052人のうち、仕事をしながら治療をした経験がある人は95%でした。
このうち、仕事との両立が難しく、退職や転職、休職など働き方を変えたことがある人は39%に上りました。
この中では、
▽退職した人がもっとも多く15%、
▽転職した人が6%、
▽休職した人が5%、などとなっています。
治療期間が長期にわたるほど働き方を変えた人の割合が増える傾向もあり、
▽治療期間が10年以上の人では84%、
▽5年から10年未満の人は59%、
▽2年から5年未満の人は43%となっています。
また、治療について職場で周囲に話したと答えた人は65%でした。
一方、職場で話しづらく感じた人は81%に上り、理由を複数回答で聞いたところ、多い順に、
▼不妊や不育症であることを伝えたくない、
▼妊娠しなかったとき職場にいづらくなりそう
▼不妊などへの理解が少なく、話しても分かってもらえなさそう、などとなっています。
また、職場に不妊治療などをサポートする制度が
▽あると回答したのが20%だったのに対し、
▽ないと回答したのは69%でした。
さらに、「ある」にもかかわらず、実際に制度を使わなかった人も40%いました。
理由を複数回答で聞いたところ、多い順に
▼治療をしていることを知られたくない、
▼制度が使いづらい、
▼制度が周知されておらず職場の理解を得るのが難しいなどとなっています。
自由記述欄では、
▼「職場で『まだいない赤ちゃんのために周りに迷惑をかけすぎ』と注意を受けた」、
▼「急な受診が続いたとき、上司に『あなたのせいでみんなに迷惑がかかっている』と言われた」、
▼「最初は理解を示してもらえても長期間になると難しい」などといった声が上がっています。