参院予算委 能登半島地震への対応など集中審議

能登半島地震への対応などをめぐり、参議院予算委員会で集中審議が行われ、岸田総理大臣はさまざまな情報提供を行って2次避難を進め、災害関連死を防ぐよう努めたいと強調しました。一方、立憲民主党が初動の遅れを指摘したのに対しては、自衛隊は直ちに救命救助にあたっているなどと反論しました。

参議院予算委員会の集中審議は26日、召集される通常国会に先立ち、午前の衆議院に続いて行われました。

この中で
▽自民党の足立敏之氏は「倒壊家屋が数多く発生し、電気や水道などのインフラにも影響が出ており、厳しい環境下で避難所に身を寄せている被災者が多数いる。復旧・復興や防災・減災を進めるインフラ整備にどう取り組むのか」と質問しました。

これに対し岸田総理大臣は「生活となりわい支援のためのパッケージをとりまとめ、住まいの確保をはじめとする生活再建などを支援するほか、中長期的な取り組みも用意し支えていく。防災・減災、国土強じん化の重要性も改めて感じており、5か年計画を着実に推進する」と述べました。

▽立憲民主党の杉尾秀哉氏は初動対応をめぐり「発災直後に状況把握ができず、国や県のトップが過小評価したのではないかと指摘されている。自衛隊の派遣も明らかに遅いし少ないと言わざるをえない」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「日没直前の発生で、半島という地理的な制約などから情報収集に大きな困難が生じたが、直後から私自身も情報収集に努め、自衛隊は救命救助や救援物資の輸送などに即座にとりかかった。初動対応に遅れがあったということはあたらない」と反論しました。

▽公明党の塩田博昭氏は2次避難をめぐり「災害関連死を防ぐことを最優先に2次避難所への移動を加速しなければならない。迷っている人に地元に戻れる期日のめどを示すなど後押ししてほしい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「2次避難をためらっている方々には、みずからのコミュニティーを守れるか、再び戻ってこられるのかといったさまざまな不安がある。今後の見通しとあわせ、さまざまな情報提供を行うことで不安に応え、2次避難を進めて災害関連死を防ぐ努力をしていきたい」と述べました。

▽日本維新の会の柴田巧氏は観光業の支援をめぐり「北陸では宿泊のキャンセルが相次ぐなど地域経済に大きなマイナス要因になっている。今後まとめる支援のパッケージでは具体的にどのような内容を考えているのか」と質問しました。

これに対し岸田総理大臣は「3月・4月を念頭に北陸4県を対象として1泊2万円を上限に旅行代金を割り引く『北陸応援割』を実施したい。能登地方は復旧・復興などの状況を踏まえ、適切なタイミングで、より手厚い観光需要の喚起策を検討していく」と述べました。

▽国民民主党の竹詰仁氏は北陸電力志賀原子力発電所について「地震が発生した1日に林官房長官は記者会見で変圧器の火災が発生し、消火済みと発信したが、北陸電力は翌日、火災は発生していないと訂正した。誤情報と判明したのならば、速やかに訂正の発信をすべきではなかったか」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「会見の時点では変圧器周辺で火災があり消火設備が作動したと原子力規制庁に速報があり、その旨を発言したが、その後に現場を確認した北陸電力が情報を訂正した。指摘のとおり火災は発生していないことを確認しており安全確保に影響のある問題は生じていない」と述べました。

▽共産党の井上参議院幹事長は、避難所の感染症対策をめぐり「助かった命が避難生活で失われることは絶対あってはならず、まずは避難所の抜本改善が必要だ。衛生環境の改善や感染対策など医療支援の拡充をどう考えるか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「衛生用品などのプッシュ型支援や保健師などの派遣を行っているほか、感染症の専門家から衛生環境の改善方法について助言を受けるなど対策を進めている。被災地の状況を把握しながら必要な対応を充実させるよう努力したい」と述べました。

▽れいわ新選組の山本代表は「岸田総理大臣は去年の秋田県での豪雨災害の後も『災害対策に万全を期す』と発言したが、経済的に厳しく住宅の修理を諦める人もいるなど、いまだに生活再建できていない。ここ数年の災害での被災者を支援できるよう対応してほしい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「秋田市を中心に生じた大きな被害に対しては激甚災害への指定などで支援してきたが、住宅の修理が進んでいないという指摘は謙虚に受け止めなければならない。被災自治体からの要望などを確認し、国として何ができるか考えたい」と述べました。

また大規模な地震などに備え道路の復旧手順などを定める「道路啓開計画」が北陸地方整備局で策定されていなかったことについて、斉藤国土交通大臣は「策定の対象となる災害が想定されておらず、部内検討にとどまり策定に至っていなかった。今回は発災後直ちに石川県や建設業団体、自衛隊などの関係機関と連携して方針を共有し、国も24時間体制で緊急復旧を実施している」と説明しました。