岸田首相 地震の被災地支援で1500億円規模の支出へ 衆院予算委

能登半島地震への対応などをめぐり、衆議院予算委員会で集中審議が行われ、立憲民主党の泉代表が住宅に被害を受けた世帯への支援金の上限を引き上げるよう求めたのに対し、岸田総理大臣は実情に合わせて追加的な支援を検討していく考えを示しました。また、被災地の支援のため、26日にも今年度予算の予備費から1500億円規模の支出を決定する考えを示しました。

集中審議は26日、召集される通常国会に先立ち、閉会中審査として行われました。

この中で自民党の西田昭二氏は「能登地域は農林水産業や観光業、伝統産業を中心に栄えた地域だが、これらの産業は壊滅的な状況だ。産業の復活を含めた支援をぜひお願いしたい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「あすにも生活となりわい支援のパッケージをとりまとめ、なりわい補助金をはじめとする施策を盛り込んでいく。また、今週26日にも1500億円規模の予備費の使用を決定する方向で調整しており、被災者の立場に立って再建に全力で取り組む」と述べました。

公明党の中川宏昌氏は政府が25日にもまとめる支援パッケージをめぐり、「インフラやライフラインの復旧、仮設住宅の確保などについて『何月何日までにこうやる』という強力かつ明確なメッセージを発信すべきだ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「施策の実行段階を含め、可能な限り見通しを示していく。被災者の方々が未来に希望を持ってもらい、また戻ってこられるという安心を持って2次避難をしてもらうためにも、見通しをしっかり示すよう努力したい」と述べました。

立憲民主党の泉代表は住宅に被害を受けた世帯に支給する「被災者生活再建支援金」について、「物価も住宅の建設費も高騰する中、20年間上限が変わっていない。ぜひとも支援金を300万から600万に倍増したい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「被災地のニーズや実情、経済情勢を踏まえ、効果的な対応をするため、実情に合わせた追加的な支援を総合的に検討したい。具体的な対応や、やり方は検討しているが、問題意識を共有し、政府として至急具体的な対応をとりまとめたい」と述べました。

日本維新の会と会派を組む教育無償化を実現する会の前原代表は2次避難をめぐり、「石川県は3万人以上の2次避難場所を確保しているにもかかわらず、実際に避難している方はおよそ16%だ。2次避難を進めるにはどうしたらよいと考えるか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「地域ごとにインフラやライフラインの復旧の見込みを示し、避難に踏み切るかどうか検討してもらうとともに、いつ戻ってこられるかを具体的に示すため、応急仮設住宅などの建設も並行して始めることで、2次避難の取り組みを進めていく」と述べました。

共産党の田村貴昭氏は2次避難をめぐり、「ホテルや旅館などの2次避難所では食事の提供がないところもある。災害救助法では炊き出しなどによる食品の給与が定められており、速やかに提供を行ってほしい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「素泊まりのホテルなどに宿泊する避難者には事業者に委託し、食事を提供する取り組みも進められている。こうした取り組みを関係者に周知し、自治体とも連携しながら丁寧に対応していきたい」と述べました。

国民民主党の田中健氏は「これまでは災害が発生すると補正予算を組んできた。今年度の補正予算案を国会に提出し、国民に安心してもらうことが必要ではないか」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「仮設住宅やインフラの復旧などに必要な財政措置について、現時点で個々の政策内容や予算を網羅的に確定するのは困難だ。新年度予算案の予備費の増額を行うことが最もスピード感があり、早く国民に安心してもらえるという観点から適切と判断した」と述べました。

また、被災した福祉施設への支援について岸田総理大臣は「復旧費については過去の震災対応を踏まえ、予備費も活用しつつ、国庫補助率の引き上げを考えたい。災害復旧資金の融資の貸付利率の引き下げなどの優遇措置もあわせ事業継続を支えていきたい」と述べました。