【24日詳細】戦闘休止・人質解放の交渉 進展見通せず

パレスチナのガザ地区でイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くなか、カタールなどの仲介で人質の解放や戦闘の休止に向けた交渉が行われていますが、双方の主張の隔たりは依然として大きいとみられ、進展は見通せない状況です。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間1月24日の動きを、随時更新してお伝えします。

「病院内の800人 避難できない状況」国境なき医師団

イスラエル軍は、ハマスの重要な拠点があるとするガザ地区南部の中心都市ハンユニスを包囲し、24日も空爆や戦車からの砲撃などでハマスの戦闘員の潜伏先を攻撃したり、武器を破壊したりしていると発表しました。

ハンユニスで活動するパレスチナ赤新月社は24日、イスラエル軍の攻撃によって、本部の建物の周辺に避難していた3人が死亡したとSNSで明らかにしました。

また、国際NGO「国境なき医師団」は、ハンユニスにあるナセル病院の周辺で激しい爆撃や銃撃があり、病院内にいる800人以上の患者や医療スタッフなどが避難できなくなっていると訴えています。

ガザ地区の保健当局は、イスラエル軍の攻撃によってこれまでに2万5490人が死亡したとしています。

戦闘休止交渉 双方の主張の隔たり 依然大きいか

こうした中、カタールやエジプトの仲介で、人質の解放のための戦闘休止についてアメリカも交えて協議が行われています。

しかし、ハマス側が戦闘の終結とイスラエル軍のガザ地区からの撤退を訴えているのに対し、イスラエル側はハマスがガザ地区を支配する限り戦闘を続ける姿勢を崩しておらず、双方の隔たりは依然として大きいとみられています。

一方、イスラエル国内ではネタニヤフ政権が掲げるハマスの壊滅という目標の実現を疑問視する声や人質の解放を優先すべきだと訴える声が強まっていて、交渉がどのように進展するかが焦点となっています。

イスラエル側兵士 22日の戦死者 過去最多に

イスラエル軍は23日、ハマスの重要な拠点があるとするガザ地区南部のハンユニスを包囲し、激しい攻撃を行いました。

イスラエル側は22日の1日で24人の兵士が死亡し、軍事作戦を開始して以降、最も多くの戦死者が出ています。

米高官がエジプトへ 戦闘休止を協議

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は23日、記者会見で、中東地域を担当するマクガーク調整官がエジプトの首都カイロを訪問し、人質の解放のための戦闘休止について協議していると明らかにしました。

カービー調整官はマクガーク氏が中東地域のほかの国も訪問する予定だとした上で、「人質をめぐる新たな合意を得るために冷静で、真剣な協議を行っている」と述べました。

また、戦闘休止の期間について、「私たちが達成できた1週間よりも長い期間の休止を支持する」と述べて、去年11月下旬から7日間にわたって続いた休止よりも長くなることが望ましいという考えを示しました。

「イスラエルの戦闘休止提案をハマスが拒絶」米メディア

イスラエルは人質全員の解放に向け、仲介国のカタールやエジプトを通じてハマス側に最長2か月の戦闘の休止を提案したと報じられていましたが、アメリカのAP通信は23日、ハマスがこの提案を拒絶したと伝えました。

仲介にあたる国の1つエジプトの政府高官によるものだとしていて、ハマス側はイスラエル軍がガザ地区から撤退しないかぎり、人質の解放には応じないと主張しているということです。

イスラエル政府の報道官も23日、「ハマスが人質を拘束し、ガザ地区を支配しているかぎり停戦はない」と述べ、ハマスを壊滅させるまで軍事作戦を続ける構えを見せています。

国連安保理「早期の戦闘停止と和平実現を」

安保理では23日、パレスチナ問題をめぐる閣僚級の公開討論が開かれ、冒頭、国連のグテーレス事務総長がガザ地区の状況に強い懸念を示し、改めて即時停戦を呼びかけるとともに、イスラエルのネタニヤフ政権が将来的にパレスチナ国家を樹立して和平を実現することを拒んでいると、批判しました。

各国からもガザ地区での早期の戦闘停止や将来的なパレスチナ国家の樹立を求める発言が相次ぎ、アメリカも人権問題を担当するゼヤ国務次官が、ガザ地区での人道状況の改善に取り組む姿勢を強調したうえで、「暴力を完全に終わらせる唯一の方法はイスラエルの安全が保証された2つの国家の共存だ」と述べました。

一方、討論にはロシアのラブロフ外相も出席し、アメリカがイスラエルを擁護して停戦に反対してきたとして改めて非難するとともに、パレスチナ問題の長期的な解決に向けては欧米の不当な介入は許されないと強調しました。

また、イランのアブドラヒアン外相もイスラエルを厳しく非難したうえで、アメリカやイギリスがイエメンの反政府勢力のフーシ派を攻撃し、中東の混乱を広げていると強く反発しました。

アメリカ軍 イラン支援の民兵組織拠点を空爆

アメリカ軍は現地時間の24日午前0時すぎ、イランの支援を受けるイラク国内の民兵組織の司令部や貯蔵庫、ミサイルなどの発射訓練施設を含む3つの拠点に対し、空爆を行ったと発表しました。

アメリカ中央軍は、1月20日にアメリカ軍が駐留するイラクの空軍基地が攻撃されたことなどに対する報復措置だとしています。

これを受け、オースティン国防長官は声明で、「われわれはアメリカ国民を守るためにさらなる措置をとる用意がある」として警告しました。