ダイハツ 商用車2車種除き来月中旬まで生産再開しない方針

ダイハツ工業は国の認証取得の不正問題による工場の稼働停止について、生産再開を目指す商用車2車種を除いて、少なくとも来月中旬まで生産を再開しない方針を決めました。会社は取引先への補償について具体的な検討を進めています。

ダイハツ工業は国の認証取得の不正問題で国内の4つの自動車工場の稼働を先月(12月)下旬から停止し、このうち、先週、国土交通省が基準への適合を確認した商用車の2車種について、来月(2月)中旬の車の生産再開を目指しています。

こうしたなか、会社は生産の停止が続く主力の軽自動車など残りの22車種について、少なくとも来月16日まで生産を再開しない方針を決めました。

その後の生産再開のめどは、たっていないとしています。

会社は23日夜開いた取引先への説明会で、こうした方針を説明し、取引先に対する補償について具体的な検討を進めています。

一方、取引先の間からは、生産再開の見通しだけでなく、部品の準備の前提となる生産台数の計画など、具体的な説明を求める声もあがっていて、ダイハツの不正問題は下請け企業など多くの取引先がある地域経済への影響の長期化が懸念されています。

取引先の中小企業からは稼働停止長期化に懸念の声

ダイハツ工業の取引先の中小企業からは工場の稼働停止の長期化に懸念の声が高まっています。

静岡県浜松市にある従業員およそ30人のメッキ加工会社はダイハツの3次下請けにあたり、部品の加工を請け負っています。

ダイハツ向けの売り上げは1か月あたり100万円近くにのぼり、従業員、数人分の人件費にあたることから、規模の小さな会社としては影響は大きいといいます。

この会社が手がける部品の加工はダイハツの主力となる軽自動車向けで、国土交通省が不正のあった車種として出荷の停止を指示し、その再開のめどはたっていません。

ダイハツは2次下請けや3次下請けといった間接的な取引先に対しても、補償などの支援を行う方針です。

ただ、この会社ではどの程度まで補償が受けられるのか、工場の稼働停止が長期化した場合にも継続して補償の対象となるのか、不安を募らせています。

中部鍍金工業所の伊藤貴俊 取締役は「これまで特定のメーカーの部品の加工が1か月以上停止することは経験がなく、補償についても人件費まで範囲を広めてもらえるのか不安です」と話していました。

カーリース会社「生産や出荷の停止長くなるほど損失も大きく」

ダイハツの主力の軽自動車を含む多くの車種で出荷が停止されている中、企業向けにダイハツ車を貸し出している会社では、出荷停止の長期化による影響を懸念しています。

大阪・箕面市のカーリース会社では企業向けにおよそ300台の車を貸し出していますが、そのうちおよそ7割をダイハツ車が占めています。

この会社では貸し出している車の車検の有効期間が切れる前に、新車と入れ替えることが多いといいますが、ダイハツの不正問題で主力の軽自動車を含む多くの車種で出荷が停止されている影響で、新車の仕入れができなくなっています。

このため、この会社では貸し出し先の企業に車検を行ってもらった上で、同じ車を使うよう依頼していますが、車検にかかる費用の一部をみずから負担して客をつなぎ止めているといいます。

現時点ではそれほど大きな負担にはなっていないということですが、出荷停止による影響が長期化した場合は負担がふくらむことを懸念しています。

「まらねろレンタリース」の高田宗慶 社長は「生産や出荷の停止が長くなれば長くなるほど損失も大きくなる。補償に関する情報がほとんどないので不安が大きく、ダイハツから生産再開の見通しなどについて説明がほしい」と話していました。