災害廃棄物 石川 珠洲で65年分相当量 専門家「広域で対応を」

能登半島地震で発生した災害廃棄物について専門家が推計した結果、石川県珠洲市では自治体で出される廃棄物の量の65年分に相当するとみられることが分かりました。専門家は「被災した自治体だけで対応できる量ではなく、広域での対応を考える必要がある」と指摘しています。

災害廃棄物に詳しい名古屋大学の平山修久准教授は能登半島地震の震度分布と建物のデータなどをもとに、それぞれの自治体でどれだけの災害廃棄物が発生したか推計しました。

その結果
▽珠洲市で28.2万トン
▽輪島市で20.1万トン
▽能登町で11.9万トン
▽志賀町で8.2万トン
▽穴水町で6.3万トンと推定されました。

これを各自治体で年間に出される廃棄物の量に換算すると
▽珠洲市では65年分
▽穴水町で22年分
▽輪島市と能登町で18年分
▽志賀町で13年分に相当します。

熊本地震の災害廃棄物は熊本県益城町で33.9万トン、33年分だったと推計されていて、過去の災害と比較しても、自治体の年間排出量を大きく上回る災害廃棄物が発生しているとみられます。

推計した平山准教授によりますと、今回、対象としたのは揺れによる建物の倒壊のみで、液状化や津波の被害を加えると廃棄物の推定量がさらに増える可能性があるということです。

平山准教授は「到底、被災自治体だけで対応できず、国と県でしっかり支援していくことが大切だ。道路環境も厳しく、東日本大震災で行われたように、船も使った広域処理も考える必要がある。また、コンクリートの破片を道路の復旧に活用するなど、被災地の復興のために資源を循環させることも重要だ」と話しています。