石川の漁協関係者が対策話し合う会合 漁業者の生活支援を

能登半島地震により地域の漁業に大きな被害が出たことを受けて、石川県内の漁協関係者が対策を話し合う会合が23日、金沢市で開かれ、事業の再開を見据えて一時的な住まいの確保など、漁業者の生活支援に取り組むことが確認されました。

会合には、石川県漁協の役員などおよそ50人が集まり、はじめに出席者全員で今回の地震の犠牲者に黙とうをささげました。

そして、笹原丈光組合長が「県の漁業は今まさに正念場で、関係者が一丸とならなければ乗り越えることはできない」とあいさつしました。

協議は非公開で行われましたが、出席者によりますと、特に被害が深刻な輪島港は地震による海底の隆起に伴って移動が必要な船は少なくとも100隻を超えるとみられることなどが報告されました。

そのうえで、漁の再開が見通せない中、収入を絶たれている漁業者の生活の支援が急務だとして、輪島市や珠洲市で自宅が被災した漁業者の一時的な住まいとして県内の漁協の施設を活用する方針が示されました。

会合のあと、福平伸一郎専務理事は「漁業者からは今後の生活に対する不安の声が寄せられている。漁業の継続には住まいを確保し、漁業者に地域にとどまってもらうことが必要だ。復興には年単位の時間が必要だが、組織として支えていきたい」と話していました。

漁の再開の見通し立たず 今後の生活に不安も

能登半島地震で壊滅的な被害を受けた石川県輪島市の港に水揚げする漁業者の中には、漁の再開の見通しが立たない中、新たにほかの仕事を探すことを検討するなど、今後の生活に不安を感じている人もいます。

輪島港に水揚げしている漁業者、吉浦翔太さん(38)は、およそ20年にわたってふぐやたらの刺し網漁を続けてきましたが、地震による津波で所有する漁船が200メートルほど離れた場所まで流されたうえ、海底の地盤が隆起したことで、今も船を動かせない状態が続いています。

吉浦さんは「動かせるようになっても船体を点検する必要がありますが、近くの造船所は被災して点検することができず困っています」と話していました。

自宅も大きな被害を受けたうえ、漁の再開の見通しが立たない中、収入は絶たれ、貯金を切り崩すなどして暮らしているということです。

また漁船や機材を購入した際の借入金のうち、まだ400万円ほどが残っているということで、今後の生活に不安を感じています。

吉浦さんは「漁が再開できるまで別の仕事を探して働くことも考えざるをえません。漁業への強い思い入れがあるので、なんとか持ちこたえて漁を続けたいです」と話していました。