岸田派 解散を正式に決定 政治資金事件受け 67年の歴史に幕

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、岸田派は、岸田総理大臣の意向を踏まえ解散することを正式に決めました。

岸田総理大臣が、みずから会長を務めていた「宏池会」=岸田派を解散する意向を示したことを受け、岸田派は23日、都内の派閥の事務所で臨時の会合を開きました。

冒頭、事務総長を務める根本元厚生労働大臣は「岸田総理大臣から解散の相談を受けたとき政治への信頼回復に向けた覚悟を感じ、了解した」と述べました。

出席者からは「岸田総理大臣がほかの派閥に先立って解散を表明したことは、党改革で重要な意味を持つ」といった意見や「岸田派で得たきずなを大事にしたい」といった声が出されました。

そして、解散への異論は出ず、岸田派は解散することを正式に決めました。

「宏池会」とは

「宏池会」は、1957年に池田勇人元総理大臣が創設した名門派閥です。

池田氏以降、大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一、そして岸田総理大臣と5人の総理大臣を輩出してきました。

岸田総理大臣が2012年10月に会長に就任してからは「岸田派」と呼ばれています。

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて岸田総理大臣は先月離脱し、現在、46人の議員が所属しています。

今回、岸田総理大臣の決断によって「宏池会」は67年の歴史に幕を下ろすことになりました。

岸田派座長 林官房長官「すべては政治の信頼回復のため」

岸田派で座長を務める林官房長官は、午後の記者会見で「宏池会に所属することで、多くの議員と交流を深め、政策を磨き上げていく経験を得た。また宮沢総理大臣をはじめ多くの先輩方から、国会議員としての立ち居振る舞いなどを学べる貴重な場でもあった」と述べました。

そのうえで「さまざまな思いが胸に去来しているが、すべては政治の信頼回復のためであり、引き続き国民の信頼回復に向けて取り組んでいきたい」と述べました。

石橋国土交通政務官「重く受け止め」

岸田派の石橋林太郎国土交通政務官は、記者団に対し「解散の決断は宏池会のためではなく政治不信を払拭(ふっしょく)し、政治が信頼を取り戻すために必要だという話があり、全く同感で重く受け止めた。今後も所属議員との縁は大事にし、情報交換や教えをいただきながら研さんを積みたい」と述べました。

根本元厚労相「政策を磨いたきずな 大切にしたい」

岸田派の事務総長を務める根本元厚生労働大臣は、記者団に対し「宏池会という政策集団でずっと取り組んできたので、いろいろな思いがある。これまで宏池会で共に政策を磨いてきたきずなをこれからも大切にしたい」と述べました。

武井俊輔元外務副大臣「前を向いて頑張りたい」

岸田派の武井俊輔・元外務副大臣は、記者団に対し「岸田総理大臣が宏池会をどれだけ愛していたかをよく知っているので、決断を尊重する。宏池会が大好きで、宏池会に入りたいと思って国会議員になったのでつらいが、前を向いて頑張りたい」と述べました。

寺田元総務相「残念至極 けじめの意味で了とした」

「宏池会」を結成した池田勇人元総理大臣が妻の祖父にあたる岸田派の寺田元総務大臣は、記者団に対し「惜別の念と残念至極という思いが強いが、けじめをつけて政治改革を進めるという意味で了とした。うごうの衆ではなく伝統ある政策集団であり、国民生活を向上させ、経済を発展させるという原点は変わらない」と述べました。

田村元厚労相「それぞれ縁はある 若い人たちの力に」

去年9月に岸田派に入会した田村・元厚生労働大臣は、記者団に対し「4か月しかいなかったので何の貢献もできなかったが、それぞれ縁はあるので、専門分野で若い人たちの力になりたい。派閥を解消したからといって国民の目が変わるとは思っていないが、少しでも話を聞いてもらうためにはこのような決断をしなければならなかったという岸田総理大臣の判断だと思う」と述べました。