インド北部 イスラムと所有権争ってきた土地にヒンドゥー寺院

インド北部でヒンドゥー教徒とイスラム教徒が聖地として所有権を争ってきた土地にヒンドゥー教の寺院が建てられました。ことし総選挙を控えるモディ首相は、寺院の建設を進めてきた実績を国民の大多数を占めるヒンドゥー教徒にアピールする姿勢ですが、野党側からは政治利用だとして強い批判も出ています。

インド北部のアヨーディヤでは、22日、ヒンドゥー教の寺院の落成式が行われ、映画俳優やスポーツ選手など8000人が招待され、モディ首相は「きょうは新たな時代の幕開けだ」とスピーチしました。

アヨーディヤをめぐっては、16世紀にムガール帝国がイスラム教のモスクを建てましたが、「ラーマ神」が誕生した聖地と訴えるヒンドゥー教徒も土地の所有権を主張してきました。

1992年には、ヒンドゥー教徒の一部が暴徒化してこのモスクを破壊し、宗教対立が激化して全国的な暴動が起き、2000人近くが死亡する事態となりました。

5年前にヒンドゥー教徒側に土地の所有を認める判決が出され、モスクの跡地にヒンドゥー教の寺院の建設が進められてきました。

インドではことし5月までに総選挙が実施される予定で、モディ首相は、国民の大多数を占めるヒンドゥー教徒に、寺院建設を進めてきた実績を強くアピールする姿勢をみせています。

一方、野党側からは、宗教の式典を政治的に利用していると強い批判が出ています。