【23日詳細】イスラエル軍“ハマスの攻撃で兵士21人死亡”

イスラエル軍は、ガザ地区南部でのイスラム組織ハマスによる攻撃で兵士21人が死亡したと発表し、軍事作戦が始まって以降、イスラエル軍の一日当たりの死者としては最も多くなったと地元メディアは伝えています。
双方の死者が増え続ける中、停戦に向けた交渉の動きも相次いで報じられていますが、イスラエル側はハマスの壊滅を目指す方針を変えておらず、実現は見通せない状況です。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間1月23日の動きを、随時更新してお伝えします。

“イスラエル軍兵士の死者 一日としては最多” 地元メディア

イスラエル軍の報道官は23日、ガザ地区南部のイスラエル側との境界線近くで前日に建物の撤去作業を行っていた部隊がハマスの攻撃を受け、建物の倒壊により兵士21人が死亡したと発表しました。

地元メディアは、去年10月にイスラエル軍がガザ地区で軍事作戦を開始して以降、一日の死者としては最も多く、作戦で死亡したイスラエル兵は200人を超えたと伝えています。

イスラエルのネタニヤフ首相は死者を悼み、調査を始めるとするコメントを発表しましたが「われわれは完全な勝利まで戦闘を続ける」とハマスの壊滅を目指す方針を強調しています。

一方、イスラエル軍は23日、ハマスの重要な拠点があるとする南部のハンユニスを包囲したと発表しました。

ハンユニスに本部があるパレスチナ赤新月社は、23日、イスラエル軍の砲撃を受け敷地内に避難していた人々が負傷したほか、攻撃により救急車が負傷者を搬送できない状態だとSNSに投稿しました。

ガザ地区の保健当局は、イスラエル軍の攻撃によるこれまでの死者は2万5490人に上るとしていて、双方の犠牲が増え続けています。

こうした中、アメリカのニュースサイト、アクシオスは22日、イスラエルの当局者の話として、イスラエルが人質全員の解放に向けて、カタールなどの仲介のもと、ハマス側に最長2か月の戦闘の休止を提案したと伝えました。

提案では、女性や高齢者などから段階的に人質を解放するとしています。

また、アメリカのCNNテレビは、イスラエル側がハマスの指導者らのガザ地区からの退避を認めることも提案していると伝えています。

しかし、この提案はイスラエルがガザ地区でのハマスの支配力の低下や、外国に逃れた指導者らを暗殺することを狙ったものだとの受け止めもあり、ハマス側が受け入れる可能性は低いと指摘しています。

パレスチナ赤新月社 “イスラエルが本部を砲撃”

パレスチナ赤新月社は23日、イスラエル軍がガザ地区南部のハンユニスにあるパレスチナ赤新月社の本部を砲撃し、本部の敷地内に避難していた人々が負傷したとSNSに投稿しました。

パレスチナ赤新月社の投稿では「建物の4階への砲撃と、無人機からの激しい銃撃があり、安全を求めて避難をしていた人たちがけがをした」としています。

さらに、その後の投稿では同じハンユニスにあるアマル病院の周辺でイスラエル軍の無人機による攻撃が続いているとしたうえで「病院の周辺を移動している人が狙われている。赤新月社の救急車はハンユニスにいる負傷者のもとに到着することができない」と訴えています。

ガザ地区南部で激しい攻撃 さらなる犠牲懸念

パレスチナのガザ地区で軍事作戦を進めるイスラエルは、南部のハンユニスに激しい攻撃を加えています。ガザ地区の保健当局によりますと病院には多くのけが人が搬送され、治療が追いついていないということで、住民のさらなる犠牲が懸念されています。

ホワイトハウス「バイデン大統領は戦闘休止を支持」

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は22日「バイデン大統領は人質を安全に解放し、さらに多くの支援物資を搬入できるようある程度の長さの新たな戦闘休止を支持している」と述べてすべての人質の解放のために一定期間の戦闘の休止が必要だという認識を示しました。

一方で「戦闘休止は必要だが一般的な停戦は今も支持していない」と述べて停戦に否定的な姿勢を改めて示しました。

米ニュースサイト “イスラエル 最長2か月の戦闘休止を提案”

アメリカのニュースサイト、アクシオスは22日、イスラエルの当局者の話として、イスラエルが人質全員の解放に向けて、カタールやエジプトの仲介のもとイスラム組織ハマス側に最長2か月の戦闘の休止を提案したと伝えました。

提案では、▽はじめにハマスが女性や高齢男性、健康状態が悪化している人質を解放し、▽その後段階的にそれ以外の人質や兵士を解放するという内容で、▽全員が解放されるまで戦闘を休止し、その期間は最長で2か月ということです。

こうした条件をイスラエルの戦時内閣が10日前に承認したということです。

一方、イスラエルとしては戦闘休止後には作戦を縮小するものの戦闘の終結には合意せず、拘束しているパレスチナ人およそ6000人全員を釈放するつもりはないとしています。

アクシオスはこうしたイスラエル側の提案について「これまでハマスに拒否された取り引きの条件と異なっていて、以前より踏み込んだものだ」と伝えています。

ガザ地区南部で激しい攻撃 けが人多く 治療追いつかず

イスラエル軍は、ハマスの重要な拠点があるとするガザ地区南部のハンユニスで戦闘地域を拡大して空爆や地上部隊による激しい攻撃を行っていて、22日も市街地では銃声と爆撃音が響きました。

ガザ地区の保健当局によりますとハンユニスの病院には多くのけが人が搬送されていて、医薬品や手術室などが足りず、治療が遅れるケースも出ているということです。

また、保健当局はハンユニスの西側の地区では病院内にイスラエル軍の兵士が突入し、医療関係者を拘束したとしているほか、パレスチナ赤新月社は市内の別の病院が戦車などの部隊に包囲され、活動している医療チームと連絡が取れなくなっていると訴えています。

EU 艦隊派遣で原則合意 紅海周辺での商船の安全確保へ

紅海周辺の海域ではフーシ派による船舶への攻撃が相次ぎ、ヨーロッパとアジアを結ぶ海上輸送でアフリカの喜望峰を回るルートに航路を変更する動きも出ていますが、輸送にかかる日数や費用が大幅に増すなどとして物流への影響が懸念されています。

こうした中、EUは22日、ベルギーで外相会議を開き、紅海周辺の海域を航行する商船の安全を確保するため、EUとして艦隊を派遣する案について意見を交わしました。会議のあとの記者会見でEUの外相にあたるボレル上級代表は「EUとして艦隊を派遣することで原則、合意した。時期については加盟国間での全会一致の合意が必要だ」と述べました。

今後、どの国が艦隊を主導するかや、護衛する商船が攻撃された場合、どの程度反撃するかなど、任務の具体的な内容について協議していくとしています。

紅海ではすでにアメリカがイギリスなどと有志連合を創設し、対応にあたっています。

米国防総省 “米軍と英軍 フーシ派関連施設を攻撃”

アメリカ国防総省は22日、アメリカ軍とイギリス軍がイエメンの反政府勢力フーシ派の地下貯蔵庫やミサイル関連施設など8か所に攻撃を行ったと発表しました。

フーシ派が去年11月以来、船舶に対し30回以上の攻撃を繰り返し、国際的な課題となっていると指摘し、オーストラリア、バーレーン、カナダ、オランダの支援を受け、フーシ派の攻撃能力を低下させる目的で攻撃を行ったとしています。

国防総省は「重要な海運を守ることをわれわれはためらわない」として、フーシ派に対し船舶への攻撃をやめるよう改めて警告しています。

フーシ派 “米船籍の貨物船にミサイル攻撃行った” 報復を主張

イエメンの首都サヌアを含む北部を掌握する反政府勢力フーシ派の報道官は22日、SNSに「われわれは、アデン湾でアメリカの軍事貨物船オーシャン・ジャズに対し、複数の巡航ミサイルで攻撃を行った」と投稿しました。

船の位置情報を公開している「マリントラフィック」によりますと、貨物船はアメリカ船籍だということです。船の被害や、乗組員の状況などについて詳しい情報は明らかになっていません。

また、フーシ派の報道官は「アメリカ軍やイギリス軍が行った攻撃に対する報復を続ける」として、ガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエルへの攻撃に加え、アメリカなどの船舶も攻撃の対象にすると主張しました。

一方、アメリカ海軍は、フーシ派の発表について「明らかな虚偽だ。オーシャン・ジャズとはその安全な航海のあいだ、常に連絡を取り合っていた」とSNSに投稿しました。

今月に入ってアメリカ軍はフーシ派の拠点への攻撃に乗り出していますが、フーシ派は報復としてアメリカの船舶も標的にしていて、地域の緊張がさらに高まることが懸念されます。