【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(1月23日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる23日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“ウクライナの港からの農産物輸出 侵攻後で最大” 英国防省

ロシアによる軍事侵攻で制限されていたウクライナの港からの農産物の輸出について、イギリス国防省は、先月の輸出量が侵攻後、最大になったとの分析を発表しました。

黒海を通じた貿易の拡大への道をひらく象徴的な出来事だと指摘しています。

ウクライナは世界有数の穀物輸出国ですが、2年近く前にロシアによる軍事侵攻が始まってからは、黒海を通じた輸出ルートが制限され、世界的な食料供給にも影響が出ています。

これについてイギリス国防省は22日、ウクライナの港から先月輸出された農産物が侵攻開始以降、最も多くなったとの分析を発表しました。

輸出ルートにあたる黒海の西側部分でウクライナ側がミサイルによる防衛などを強化し、ロシアの黒海艦隊に十分活動させなかったことが背景にあるとしています。

そのうえで「輸出航路の確保はウクライナの輸出による歳入だけでなく、黒海における貿易拡大に道をひらく象徴的な出来事で、長期的にも極めて重要だ」と指摘しています。

ロシア軍が首都キーウなどにミサイル攻撃

一方、ロシア軍は攻撃の手を緩めておらず、23日には首都キーウや東部ハルキウなどにミサイル攻撃などを行い、クリメンコ内相によりますと、これまでに5人が死亡したということです。

また、キーウのクリチコ市長は、子どもを含む20人がけがをしたほか住宅や建物にも被害が出ているとしていて、ウクライナの主要都市を狙った攻撃が相次いでいます。

ロシア軍による攻撃では、NHKの取材班が滞在するキーウ市内のホテルでも現地時間23日午前7時すぎ、日本時間23日午後2時すぎに「ドーン」という大きな音が10回以上聞こえました。

時折、振動も感じられ、その影響で駐車していた車の防犯システムも誤作動し、通りではアラームが鳴り響いていました。

取材班が退避する途中には、ミサイルを迎撃しようとウクライナ軍が空に向けて何かを発射している様子も窓から見えました。

国連安保理 緊急会合でロシア外相 欧米のウクライナ支援を非難

国連の安全保障理事会では22日、ウクライナ情勢をめぐる緊急会合が開かれ、ロシアからはラブロフ外相が出席しました。

この中でラブロフ外相は、ウクライナ東部ドネツク州のロシア側が支配する地域で21日、市民27人が死亡したことについてウクライナ軍による攻撃だとしたうえで欧米から供与された兵器が使われたと主張しました。

そして「戦場での失敗にもかかわらず、欧米の支援者たちは、ウクライナに無意味な軍事的対決を続けるようしむけている」と主張し、欧米によるウクライナへの軍事支援を非難しました。ラブロフ外相はみずからの発言後、およそ10分だけ議場に残り、中国の国連大使の発言が終わると退席しました。

このあと、アメリカのウッド国連次席大使は「ウクライナの自衛のための正当な支援が、ロシアの侵略戦争を長引かせていると主張するのは最上級の皮肉だ。この戦争を長引かせているのは、ウクライナを消滅させ、ウクライナ国民を服従させようするプーチン大統領の一貫した追求だ」と非難し、ロシア軍の即時撤退を改めて求めました。

このほか欧米各国や日本や韓国などからは、ロシアが北朝鮮から供与された弾道ミサイルをウクライナに対して使ったのは安保理決議に違反すると非難する意見も相次ぎました。

ポーランド首相がキーウ訪問

22日、ウクライナへの支援を積極的に進めてきた、隣国ポーランドのトゥスク首相が先月の就任以来初めての外国訪問として首都キーウを訪れました。

トゥスク首相はゼレンスキー大統領と共同会見を開き「ウクライナの勝利の可能性を高めるためにあらゆることをする」と述べ、弾薬や武器の生産を増やすための計画を共同で進める考えを明らかにしました。