珠洲市や輪島市では耐震基準満たした建物は倒壊免れる揺れ

能登半島地震が木造の建物に与えた影響について専門家がシミュレーションを行ったところ、石川県の珠洲市や輪島市では耐震基準を満たした建物が倒壊を免れる揺れだったことがわかりました。専門家は「耐震化されていない古い住宅に被害が集中した可能性があり、対策を急ぐ必要がある」と指摘しています。

地震の揺れによる建物への影響に詳しい京都大学生存圏研究所の中川貴文准教授は、今回の能登半島地震で観測された地震動をもとに、耐震性能の異なる木造住宅がどの程度被害を受けたかシミュレーションを行いました。

その結果、最大震度7の揺れを観測した石川県志賀町では、どの耐震性能の建物も倒壊しませんでした。

これに対して震度6強だった珠洲市や輪島市では、強度が現在の耐震基準より20%から60%しかない建物が次々と倒壊しました。

その理由について中川准教授は、珠洲市や輪島市では木造住宅に被害が発生しやすい周期の揺れが観測されたためとしています。

一方、珠洲市や輪島市でも現在の基準を最低限満たしている建物は倒壊は免れ、中川准教授は耐震補強がされていなかった古い木造住宅に被害が集中した可能性があるとしています。

中川准教授は「耐震化率は日本全体で見れば世界有数の高さだが、最後に残された課題が地方の建物の耐震化だ。どの地方も高齢化が進み耐震化に消極的かもしれないが、若い世代のためにも進めてほしい。行政も使い勝手のよい補助金や簡易な工法などを提示し、対策を加速させる必要がある」と話していました。