石川 断水の状況(22日 午後2時時点)と復旧の見通し

石川県によりますと22日午後2時の時点で、8つの市と町のあわせておよそ4万8510戸で断水が続いているということです。

断水 七尾市 約1万6800戸 輪島市 約1万戸

このうち、ほぼ全域で断水となっているのは輪島市のおよそ1万戸、珠洲市のおよそ4800戸、穴水町のおよそ3200戸、能登町のおよそ5800戸、七尾市のおよそ1万6800戸、志賀町のおよそ7000戸です。

県はこの6つの市と町の水道の復旧時期の見通しを明らかにしていて、このうち輪島市、穴水町、能登町では、いずれも2月末から3月末に仮復旧の見込みです。珠洲市では、2月末から順次、仮復旧する予定で、遅い地域では、4月以降となる見込みです。さらに七尾市では、七尾市街、和倉地区、能登島地区を中心に4月以降となる見込みで、そのほかの地域では、3月末までに仮復旧する見込みです。志賀町では、おおむね2月末までに仮復旧し、一部で3月末となる見込みです。

また、一部の地域で断水となっているのは、羽咋市のおよそ150戸、内灘町のおよそ760戸です。

輪島市 全域での復旧には2か月以上かかる見通し

ほぼ全域で断水状態が続いている石川県輪島市では、22日復旧作業が進められていますが、全域での復旧には少なくとも2か月以上の時間がかかる見通しです。

石川県によりますと、22日午後2時現在、輪島市内ではほぼ全域にあたるおよそ1万戸で断水が続いていて、県は、
▽市内の早いところでも2月末、
▽全域での仮復旧は3月末になるという見通しを示しています。

輪島市では、浄水場からの水をためる「配水池」につながる管に被害が出たことから、浄水場から直接、仮設の水道管で水を送る応急対策をとり、1月17日から試験的に水を流して漏水か所の調査にあたっています。

市の中心部では22日、応援に入っている東京都の職員らが地中にある水道管の弁に専用の器具を差し込んで、水漏れがないかを音で確かめていました。

そして、住宅前の道路で水があふれ出している箇所が見つかると、連絡を受けた工事業者が修復作業にあたっていました。

輪島市によりますと、倒壊した家屋のがれきが散乱する中、調査は広範囲にわたり、天候にも左右されるため、被害の全容把握にも時間がかかっているということです。

市は、市役所のほか、避難所となっている学校や公民館などの水道の復旧を優先する考えで、輪島市上下水道局の登岸浩局長は、「ほかの自治体の支援も受けているものの、作業がなかなか進まない。厳しい状況だが、前を向いて復旧に努めたい」と話しています。

七尾市 茶谷市長 “全域での水道の復旧 4月以降に”

七尾市では、21日時点で全戸数のおよそ77%にあたる1万6000戸余りで断水が続いています。

22日会見した茶谷市長は、水道の復旧について、石川県や県内のほかの自治体から専門職員の派遣などを受けながら、漏水か所の確認や破損した水道管の修理を進めていると述べました。
その上で、市内の水道について、▽0.5%にあたる100戸余りを今月中に、▽14%余りにあたる3000戸余りをことし3月末までに復旧させるとしましたが、残る1万3000戸余りについては、4月以降となると説明しました。

市によりますと、復旧が4月以降となる多くの世帯は、県が管轄する配水管から水道水の提供を受けているため、県による水道管の修理を待つ必要があるということで、復旧状況を地域ごとにまとめて市のホームページで公開するとしています。

茶谷市長は「水道が復旧しなくても、飲料水の供給など足りない水は十分に届くようにしたい。また、事業者には、断水による出費について金融機関から短期の貸付を行ってもらい市があとから補助することも検討する」と述べました。

専門家 「水道システムの一番上に被害が出ている」

災害による水道被害に詳しい金沢大学の宮島昌克名誉教授は、
▽今月19日に珠洲市や輪島市などを
▽20日に七尾市と能登町を訪れ、浄水場や水道管などの被害状況を視察しました。

その上で宮島名誉教授は今回の地震による被害の特徴について、「水を取り入れてきれいにする浄水場や、配水池に伸びる水道管、それに浄水場の上流など、いわゆる水道システムの一番上に被害が出ている印象だ」と述べました。

また、復旧が遅れている背景として、「取水口は川の上流にあるが、能登地域は山地や丘陵部が多く、地盤への被害で現地に行き着けないケースが多い」として、
▽被害の把握に時間がかかることや、
▽復旧工事を担う作業員の拠点が不足していることを挙げました。

そして復旧を速やかに進めるために、「応援が全国から来ても現地の小さな自治体が対応するのは大変なので、現場の復旧作業の司令塔を中央から派遣する仕組みを取り入れていくことが重要だ」と指摘しています。

また、今後の教訓として、「地震による被害は一律ではないことから、重要度の高い上流の設備から耐震化率を上げることが重要だということが示された。地震動だけでなく、地盤の変動に伴う被害もあることから、そうした観点からの評価も必要だ」と話しています。