ブリを食べて被災地支援を 石川 珠洲では「寒ブリ」漁が再開

能登半島地震で大きな被害を受けた、石川県珠洲市では津波の被害を免れた漁船を使って、今が旬の「寒ブリ」の漁が再開されました。

脂がのったおいしいブリを消費して、被災地を支援する動きが各地ででています。

石川 珠洲 被害免れた漁船で「寒ブリ」漁が再開

石川県珠洲市の多くの漁港では地震や津波の影響で、漁船が転覆したり、岸壁が壊れたりするなどの被害を受けましたが、蛸島町にある漁港では、21日深夜から被害を免れた漁船を使い、今が旬の「寒ブリ」の漁が再開されました。

漁では漁師15人が船で沖合に向かい、設置した定置網に傷がないかなどを確認したあと、網に入っていた寒ブリなどを引き上げ、港に水揚げしていました。

漁を再開させた水産会社によりますと今回は寒ブリおよそ500本が水揚げされたということですが、漁港の停電が続いていて箱詰め作業が行えないため水槽に入れてトラックで金沢市の市場に送られたということです。

水産会社の田川益蔵 社長
「網が壊れていなかったのでひと安心ですが、漁をできる環境が完全に整ったわけではなく漁師も被災して、近くに住む場所もありません。このまま漁業に携わる人が離れるのではないかと不安です」

産地のブリを消費して支援 名古屋

今が旬のブリの消費を促して支援する動きもあります。

名古屋市に本社がある企業が手がける回転ずしのチェーン店では、石川県や富山県産の天然の寒ぶりを手に取りやすい価格に設定したキャンペーンを今月18日から急きょ開催しました。

売り上げの一部を被災地に寄付することにしていて、今後も新たなキャンペーンを予定しているとしています。

「ふるさと納税」で応援を 富山 氷見

富山県氷見市では、「ふるさと納税」に活路を見いだそうとしています。

ふるさと納税のサイトに漁業関係者の写真や被災の現状を伝える特集記事を新たに掲載することにしました。

氷見市は寒ブリなどのPRにこのサイトを活用し、応援してもらいたいと考えています。

また、寄付額の一部は、返礼品を出品する事業者の収益につながるということです。

「寒ブリ」PRイベントも 仙台

このほか、仙台市中央卸売市場では、卸会社が石川県や富山県の漁港で水揚げされた旬の寒ブリを、スーパーや市場関係者にPRするイベントを開催するなど、食を通じて被災地を応援しようという動きが広がっています。

「仙台水産」営業本部 三浦伸一朗 副本部長
「東日本大震災で被災したこともあり、能登半島地震の被災地を消費を手伝うことで応援しようと企画した。水揚げされたブリは、脂がのっていて太っているものが多いほか、かなり量もとれていて、良質なものが手頃な値段で食卓に並びやすくなっている」

東京ではブリが去年の半額に

SNSでは「寒ブリ大好きだし食べて応援になるなら」「富山のブリを買いに2駅先のスーパーへ行ってきた」という投稿も見られ、ブリを消費することで被災地を応援しようという投稿が相次いでいます。

一方、東京の豊洲市場ではいまが旬のブリの卸売価格が去年を大きく下回る状態になっています。

20日の価格は1キロ当たり中値で756円となっていて、去年と同じ週の曜日の半分以下の値段になっています。

また、ことしの取引がはじまった今月5日からの価格をみてみると、去年より4割ほどの価格になっている日もあります。

水産庁は「養殖のブリに関しては、去年の春ごろから価格の高騰が落ち着いてきている。また天然物のブリは、冬になると値段が高騰してくるが、入荷量にも左右されるので、量がとれている影響も考えられる」と話していました。

ブリを食べておいしく被災地応援、いかがですか?