輪島 「車中泊」の人少なくとも70人余 健康悪化どう防ぐか課題

石川県輪島市では感染症への警戒感などから、避難所ではなく車で寝泊まりを続ける人が多くいます。車内での避難生活の長期化でエコノミークラス症候群などへの懸念が高まる中、こうした人たちへの支援をどのように進めていくのかが課題となっています。

輪島市によりますと、19日の時点で、少なくとも70人余りが市内の避難所の駐車場に止めた車の中で寝泊まりを続けているということです。

このうち、輪島市鳳至町の鳳至小学校の駐車場にもこうした人が多く集まっていて、自宅が大きな被害を受けた漁業者の小路久春さん(62)は地震の直後から自分の車の中で寝泊まりを続けています。

小路さんは持病のための薬を服用していて、もともと今月中に病院で検査入院をする予定だったということですが、地震の影響で延期になってしまったということです。

検査入院が済むまでの間は輪島市を離れることができず、感染症にかからないようにするため、避難所での集団生活は避けざるをえないということです。

小路さんは体調管理のために、体を動かしたり水分を取ったりするなど気をつけるようにしているということですが、持病を抱えていて血栓ができるリスクが高く、エコノミークラス症候群などへの危機感があるといいます。

小路さんは「2次避難したい気持ちもありますが、しばらくはここで過ごすしかありません。自分なりに気をつけてはいますが、体調が悪化してしまわないかとても不安です」と話していました。

避難所では看護師が巡回も「正確な人数把握できず」

輪島市によりますと、避難所の駐車場のほか、被災した住宅の近くに止めた車の中で寝泊まりしている人などもいて、現時点でこうした人たちがどれぐらいいるのか正確な人数は把握できていないということで、健康状態の悪化をどのように防ぐかが課題になっています。

こうした中、車の中で寝泊まりする人を多く抱えている避難所では、健康管理にあたる看護師のチームなどが定期的に巡回して健康状態をチェックしています。

看護師たちは血流を改善するための「弾性ストッキング」の着用や、適度に体を動かすこと、それに水を定期的に飲むようにしてトイレを我慢しないようにすることなどを伝えていました。

見回りを行っている日本看護協会の看護師、三田村裕子さんは「エコノミークラス症候群のリスクについては、一般の方に浸透してきてはいるものの、そのリスクを抱えながら車内で生活せざるを得ない人もいるのが実態です。予防策の徹底に向けて、定期的な声がけが重要だと考えています」と話していました。