地震被害「輪島塗」老舗の漆器店では早期再開に向け作業開始

能登半島地震によって石川県輪島市の伝統産業「輪島塗」の工房や店舗も大きな被害を受けていますが、市内にある老舗の漆器店では事業の早期再開に向けて、傾いた建物から商品を運び出す作業を始めています。

輪島市にある創業200年の「田谷漆器店」は今回の地震で、商品の保管や販売をしていた建物が傾く被害を受けました。

店の代表を務める田谷昂大さんは、少しでも早く事業を再開したいと、19日は建物の入り口を塞ぐがれきを取り除き、中から商品を次々と運び出していました。

そして、作業中に「蒔絵」と呼ばれる伝統的な技法で作られた大皿が無傷で見つかると、安どの表情を見せていました。

市によりますと、「輪島塗」の担い手は高齢化などで最盛期に比べておよそ半分に減っていて、田谷さんは今回の地震をきっかけに、廃業する店も多いのではないかと不安に感じています。

田谷さんは「職人や技術の継承のためにも、少しでも早く事業を再開して、雇用を確保したい」と話していました。

田谷さんは建物が復旧するまでは、運び出した商品をインターネットなどで販売することにしています。