自民党安倍派 派閥解散の方針を決定 政治資金めぐる事件で

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、「清和政策研究会」=安倍派は派閥の解散を決めたと発表しました。

安倍派は19日夜、党本部で座長を務める塩谷 元文部科学大臣や「5人衆」と呼ばれる有力議員で、事務総長の高木 前国会対策委員長、常任幹事会のメンバーの松野 前官房長官らが出席しておよそ1時間半、議員総会を開き、派閥を解散する方針を決めました。

このあと、塩谷氏と高木氏が記者会見し、塩谷氏は「長年にわたる事務的なミスリードにより、議員の所属事務所に誤った処理をさせたことに対して幹部としておわびする。あたかも違法な支出のために裏金づくりをしたと報道されていることに対し、議員たちは心を痛めているが、決して不正な使い方をしたわけではないと思う」と述べました。

その上で、「清和政策研究会の総会を開き、今回の経緯について説明をする中で、われわれ幹部の責任のとり方や派閥の今後について十分に意見をいただき、結果的に清和政策研究会を解消することを決定した。発言したほとんどの議員が派閥解消を主張した」と述べました。

そして、「誠に残念で断腸の思いだ。しかし、国民に対して政治の信頼を大きく失った責任などを考えたとき、派閥を解散することが再スタートになるのではないかという多くの意見があった。区切りとして、けじめをつけなければならない」と強調しました。

また、議員へのキックバックについては「いつ、どういう形で始まったかはまったく分かっていない。収支報告書への不記載もまったく知らなかった。派閥内で具体的に問題にしたことも一切なかった」と述べました。

このほか、塩谷氏と高木氏はみずからの議員辞職や離党については否定しました。

世耕 前参議院幹事長「約1540万円バック 心からおわび」

自民党安倍派の「5人衆」と呼ばれる有力議員で、常任幹事会のメンバーの世耕・前参議院幹事長は記者会見で、2018年からの4年間でおよそ1540万円のキックバックを受けて政治資金収支報告書に記載していなかったと明らかにしました。

その上で、「政治資金の管理については秘書に任せきりの状況となっていた。長らく把握できなかったことについて、私の管理監督が不十分であったという指摘は否定できない。国民の皆様の政治不信を招き、関係者に多大なご迷惑をおかけしていることを心からおわびを申し上げたい」と陳謝しました。

高木 前国会対策委員長がコメント「心よりおわび」

安倍派の「5人衆」と呼ばれる有力議員で、事務総長を務める高木・前国会対策委員長は「国民に多大な政治不信を招き多大なご迷惑とご心配をおかけし心よりおわび申し上げる。

今後、できる限り速やかに収支報告書を訂正すべく関係者と相談していく。報告書の記載は適切になされていると考えていたが、結果としてこのような事態になってしまったことは猛省し、再発防止を徹底していく」というコメントを出しました。

西村 前経産相 「長年の慣行 私たちは関与することはなかった

安倍派の「5人衆」と呼ばれる有力議員で、元事務総長の西村・前経済産業大臣は記者会見で、「国民の政治への信頼を損ない、政治不信を招いたことを幹部の1人として深くおわび申し上げたい」と陳謝しました。

その上で、派閥側から議員側へのパーティー収入のキックバックについて、「歴代会長と事務局長との間で、長年、慣行的に行われ、私たちは関与することはなかった。収支報告書に記載がないことも今回の問題が表面化するまで知らなかった」と釈明しました。

また、2022年までの5年間で100万円のキックバックを受けていたことを明らかにした上で、裏金などの目的ではなかったと説明しました。

その上で、「私が還付や収支報告書への不記載を指示したり了承したりしたことはない。おととし8月に経済産業大臣に就任して以降、この話について幹部と話したことはない」と述べました。

一方、記者団から、今回の件を受けて総理大臣を目指す考えに変わりはないか問われ、「いまはしっかり誠実に説明責任を果たすことで頭がいっぱいなので、その後のことはまったく考えていない」と述べました。

下村 元政調会長「国民の不信増長 派閥解散は当然」

安倍派の下村元政務調査会長は記者団に対し、「多くの同志の議員がいるが、国民の大きな失望とともに、不信を増長させた責任をとらなければならない。派閥の解散は当然で、きょう、決めるべきだと私も話をした。国民の信頼を回復できるよう、派閥を解散して終わりではなく、私自身も説明責任を果たしていきたい」と述べました。

柴山 元文部科学相「残念だがやむをえない」

安倍派の柴山元文部科学大臣は記者団に対し、「解散は非常に残念だが、やむをえない。私自身も『解散はやむをえない』と発言した。きょう、派閥の存続を訴えた議員は皆無だったと思う。政治のあり方を抜本的に改めなければならず、私自身も含めてしっかりと肝に銘じたい」と述べました。

宮下 前農林水産相「『解散すべし』が圧倒的」

安倍派の宮下前農林水産大臣は記者団に対し、「解散が決まったことは大変残念だが、いたしかたない。多くの議員が『解散すべし』と発言し、反対意見はなかった。検察による捜査も踏まえたうえで、『解散すべし』という意見が圧倒的になったのだと思う」と述べました。

衛藤征士郎 元衆議院副議長「もっと早く説明すべきだった」

安倍派の最高顧問を務める衛藤征士郎 元衆議院副議長は記者団に対し、「解散は当然だ。ほぼ全員が解散すべしという意見だった。まず解散して、国民に政治不信を引き起こしたことに心からおわびと反省をし、政治の信頼を取り戻すために出直そうということだ」と述べました。

また、「今夜の会合では派閥幹部から『大変責任を感じている』とおわびがあったが、もっと早く事実を説明し、対応しておくべきだった。派閥からの資金の還流を知らない議員もいるし、それに対する説明が全くないまま、きょうを迎えたので、みんな大変、困っている」と指摘しました。

福田達夫 元総務会長「政治不信つくった けじめをつける」

安倍派の福田達夫 元総務会長は記者団に対し、「解散は最低限の判断で、国民に大きな政治不信をつくったことのけじめをつけるということだ。政治は国民の信頼がなければ動けないという原点に戻った上で新しいものをつくっていく」と述べました。

また、記者団から「清和政策研究会」を立ち上げた祖父の福田赳夫 元総理大臣の墓前にどう報告するかと問われ、「墓前に報告するまでもない。たぶん見ている」と述べました。

宮沢博行 前防衛副大臣「解散は当然のこと」

パーティー券収入のキックバックについて、かつて、派閥から「収支報告書に記載しなくてもよい」と指示があったことを明らかにしていた安倍派の宮沢博行・前防衛副大臣は記者団に対し、「派閥の解散は国民のみなさんへのけじめとして必要で、当然のことだと思っている。国民のみなさんに改めておわび申し上げる」と述べました。

また、総会での議論について、「還流が始まったことへの説明はほとんどなく、『慣行だった』という言い方だった。幹部に対して、『経緯について、自分の口で話すことが国民に対する説明責任ではないか』と申し上げた」と述べました。

杉田水脈 衆院議員「非常に悲しく寂しいような気持ち」

安倍派の杉田水脈 衆議院議員は「当選以来、お世話になった派閥なので、解散と聞くと非常に悲しく寂しいような気持ちだが、国民が不信を抱いてしまっている以上、信頼回復に向けて、まずはゼロからやり直すという意味で、これがいちばんではないか」と述べました。

その上で、自身についても、派閥からパーティー券収入のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかった可能性があるとして、派閥側での確認が終わり次第、説明する考えを示しました。

菅家一郎 衆院議員「幹部は責任持って対応すべき」

安倍派の菅家一郎衆議院議員は記者団に対し、「派閥を解散するというけじめをつけることは、国民の信頼を失ったことへの対応として分かりやすい。ただ、解散することによって責任を放棄するのではなく、今後、収支報告書の訂正などに幹部はしっかりと責任を持って対応すべきだという意見も出た」と述べました。

野上 参院国対委員長「大きな政治不信を招き心からおわび」

自民党安倍派の事務総長代理を務める野上 参議院国会対策委員長は記者団に対し、自らの事務所が2019年からの3年間で100万円分のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにした上で、「大きな政治不信を招き申し訳なく、心からおわび申し上げる」と述べました。

その上で、今後も参議院国会対策委員長を続ける考えか問われたのに対し、「役職については関係者としっかり協議していきたい」と述べました。

橋本 元五輪相「政治不信を招いたこと深く反省」

自民党の橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣は記者団に対し、「政治不信を招いたことを深く反省している。派閥を解散したからと言って終わりではないので、しっかりと改革の方針を打ち出していかなければならない」と述べました。

その上で、自らの事務所が派閥から2057万円のキックバックを受けとったとした上で、「非常に反省しなければいけない。説明責任をひとつひとつ果たしながら、政治活動を続けていく中で、しっかりと責任を取っていきたい」と述べました。