物価上昇でスーパーは…大容量販売に力入れるところも

物価の上昇が続く中、都内のスーパーでは客の来店を促そうと、通常より割安な大容量の商品の販売に力を入れています。

東京 足立区にある「ベニースーパー佐野店」では物価の上昇を背景に、去年1年間の平均で、来店客1人あたりの購入金額は、前の年と比べておよそ3%増えました。

一方、去年の買い物客1人あたりの来店頻度は、前の年に比べて4%ほど下がったということです。

店では、節約志向の高まりなどを背景に、消費者が買い物の回数を減らす傾向が強まっているとみて、客の来店を促す取り組みに力を入れてきました。

その1つが、豚肉や鶏肉などの肉類を1キロや2キロ単位でつめた大容量の商品の販売で、去年初めからは、それまで不定期に行っていた販売を木曜日から日曜日にかけて定期的に行うようにしました。

店によりますと、こうした商品は加工の手間が少ないことなどから、通常の商品に比べて割安なことに加え、曜日を決めて販売することで、客の間での認知度が高まり来店を促すきっかけにもなったということです。

買い物に訪れた70代の女性は「安いから買うのではなく、必要かどうか、じっくり見て買うようになりました。肉は大きいものを買って、小分けにして少しずつ使うようにしています」と話していました。

また、50代の女性は「ことしは値上げをしないでほしいです。値上がりしない商品でも量が少なかったり、小さくなったりしているので、そうしたことがなくなってほしいです」と話していました。

ベニースーパーの赤津友弥本部長は「値上げは、一定程度済んでいるとみているので、ことしは商品をカットしたり、味付けをしたりして調理の手間を省いたものなど、付加価値をつけた商品を提案していきたい。お客様が、より楽しく買い物できるような売り場を作っていきたい」とと話していました。

専門家 “食品の値上げの勢い鈍化も価格上昇は続く”

今後の物価の見通しについて、専門家からは、食品の値上げのペースが緩やかになることから、ことしの夏にかけて消費者物価指数の生鮮食品を除いた指数が2%程度まで下がるという見方が出ています。

民間の信用調査会社帝国データバンクの調査によりますと、国内の主な食品メーカーが、ことし1月から5月までの間に値上げを予定している食品は、去年の同じ時期と比べておよそ60%減少していて、値上げのペースは鈍化する見通しだとしています。

今後の物価の見通しについて、第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは「企業の値上げ意欲は根強いが、輸入物価が下落するなど、コスト上昇圧力が弱まることで、値上げの主役となっていた食品の値上げの勢いが去年と比べて鈍化する。上昇率はことしの夏にかけて2%程度に落ち着いてくるとみられる」としています。

また、「物価上昇のペースが鈍化しても、価格の上昇は続くので、生活への圧迫感は続く。実質賃金のマイナスが続く中、ことしの春闘で高い賃上げが実現しなければ、個人消費の弱さにつながる可能性もある」として、ことしの春闘での賃上げの動向を注視する必要があるとしています。

一方、政府による電気と都市ガスの負担軽減策については、今後、支援が縮小されれば物価を押し上げる要因となることから、その動向も焦点の1つだとしています。