能登半島地震の広範囲隆起 映像分析した専門家「驚きの結果」

能登半島地震では、石川県輪島市や珠洲市の広い範囲で地盤が隆起していることが分かっています。NHKのヘリコプターで撮影した映像からも、半島の北側では海底が露出した地形が見渡すかぎり続いている様子が確認され、専門家は「今回の地震の規模の大きさを示す驚きの結果だ」と指摘しています。

専門家による「令和6年能登半島地震変動地形調査グループ」の調査によりますと、今回の地震で能登半島の北側では、東西およそ90キロの範囲で陸域がおよそ4.4平方キロメートル海側に拡大したことが分かっています。

地震活動に伴う地形の変化などを研究している産業技術総合研究所 地質調査総合センターの宍倉正展グループ長は、17日にNHKのヘリコプターが輪島市北側の海岸線を撮影した映像を分析しました。

それによりますと、輪島市渋田町や町野町付近では、ふだんは海中や海面上わずかに顔を出す大きな岩、岩礁がむき出しになっていたり、砂浜が拡大しているのが確認できました。

宍倉さんは「岩礁は通常、海面すれすれのところで作られる地形だが、今は完全に露出している。また、砂浜にある崖のような地形は、波に浸食されて作られるので、地震前は波がここまで打ちつけていた証拠といえ、今回の隆起で干上がった部分だ」と指摘しました。

また、映像からは、東の珠洲市の方向へ5キロ以上にわたって同じような地形が続いていたことも確認され、能登半島の北側では、さらに隆起した地形が広がっているとみられるということです。

このほか、映像では確認できなかったものの、能登半島の内陸でも局所的に地盤の隆起や変動が起きている可能性があるということです。

宍倉さんは「広範囲の隆起は地震の規模の大きさを示している。能登半島で過去に隆起があったことは地形の調査で認識はしていたものの、この現代に起こるのかと非常に驚きを感じた」と述べました。

過去の地震によって地盤が隆起した場所は、能登半島以外にもあるとしたうえで「南海トラフ沿いでも、静岡県の御前崎や和歌山県の潮岬、高知県の足摺岬や室戸岬の周辺は、地震で大きく隆起するおそれがある。地震で地盤の変動が起こることも認識しておく必要がある」と指摘しました。

※今回の地震の被害や復旧状況の全体像を写真やデータでまとめた記事はこちらです。(データは18日午後2時時点のものです)