【Q&A】中東情勢どう見る 歴史家 ニーアル・ファーガソン氏は

混迷を深める中東情勢についてスイスで開かれている世界経済フォーラムの年次総会、通称「ダボス会議」に参加している著名な歴史家のニーアル・ファーガソン氏に話を聞きました。

Q1. ことしのダボス会議は「分断された世界における安全保障と協力の実現」がテーマの一つ。これをどう見る?
A1. 世界はますます二極化している。
ここスイスでも、冷戦のような状況になってきていることを実感している。
世界は多くの人が考えているより不安定な状況に置かれている。

Q2.イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が続いている。中東情勢について、どう見るか?
A2. 中東の危機は初期段階にある。
イスラエルに対するハマスの攻撃は序章に過ぎず、本番はレバノンのヒズボラから始まり、イスラエルの国防軍と、ハマスよりはるかに優れた武力を使えるヒズボラとの間で、必然的に起こる紛争だと思う。
アメリカがイランを抑止しない限り、この危機はかなり悪化する可能性がある。
もし抑止できていればイエメンの反政府勢力フーシ派が現在のような惨事を引き起こすことはなかっただろう。

Q3. ウクライナ情勢の見通しについて。
A3. 去年人々はウクライナの勝利からこう着状態まで、さまざまなシナリオを議論したが、ウクライナが負け、ロシアが勝つシナリオについてはどうだろうか?ことしはロシアが攻勢に出る番かもしれない。
ロシアが戦争に勝利した結果ヨーロッパの不安定さを大いに高めるシナリオとなる可能性がある。

Q4. ゼレンスキー大統領が対面でダボス会議に参加した。
A4. 世界経済フォーラムは、政治や金融界、産業界などの指導者が集まり、議論する場所だ。
例えば、アメリカのウォール街の有力者がゼレンスキー大統領の主張に耳を傾けることは重要で、ウクライナへの継続的な支援を妨げているワシントンの行き詰まりは最終的にはダボス会議のような場での影響力を通じてのみ打破することが可能だろう。