ミャンマー少数民族側 軍に攻撃 “中国側が事前に連携要求”

ミャンマーで少数民族の武装勢力が2023年10月に開始した軍への一斉攻撃について、少数民族側の報道官はNHKの取材に対し、中国側が事前に連携を求めていたことを明らかにしました。

ミャンマーでは2023年10月下旬、2021年のクーデター以降、実権を握る軍に対して、中国と国境を接する東部シャン州で3つの少数民族の武装勢力が一斉攻撃を始めました。

中国外務省は12月14日、中国の仲介で双方が一時的な停戦に合意したと発表しましたが、軍と少数民族側からの発表はありません。

このうちTNLA=タアウン民族解放軍は12月15日にシャン州北部にある軍の施設を攻撃して制圧し、多数の武器を押収したとする映像や写真を公開し、戦闘は続いているとしています。

TNLAの報道官はNHKのインタビューに対し、「12月だけでおよそ50の軍の施設を制圧した」と成果を強調しました。

そのうえで一斉攻撃の目的について、市民の生命と財産の保護、軍の打倒、それに特殊詐欺の撲滅をあげました。

特殊詐欺を巡っては、中国人の詐欺グループがシャン州の中国国境周辺に拠点を置いているとされ、中国政府は繰り返しミャンマーに取締りを求めていますが、軍には詐欺グループを保護する見返りとして金銭が流れていると指摘されています。

一斉攻撃の目的の1つに特殊詐欺の撲滅を掲げたことについて、報道官は「もともとは中国が思いつき、われわれも実行することを決めた。作戦の開始前には中国側が連携を求めてきたので喜んで受け入れた」と述べ、中国側が事前に連携を求めていたことを明らかにしました。

一斉攻撃には民主派勢力も呼応し、その後拡大していて、国境周辺の安定化もはかりたい中国がどれだけ関与していくかに関心が集まっています。

中国 高齢者や富裕層などねらった特殊詐欺 被害深刻に

中国では高齢者や富裕層などをねらった特殊詐欺の被害が深刻となっていて、公安当局が取締りを強化しています。

国営メディアによりますと、2022年の1年間に当局が摘発した特殊詐欺の件数は46万件余りにのぼり、年々、増加傾向にあるということです。

一方、中国国内での取締りが強化されるにつれて、東南アジアの国々など海外に拠点を移した詐欺グループが動きを活発化させていることから、各国の当局などとも連携して対応に乗り出しています。

とりわけ国境を接するミャンマーでは、特殊詐欺に関わった疑いで拘束された容疑者が中国側に引き渡されるケースが相次いでいて、2023年9月上旬には1207人、10月中旬には2349人がミャンマー北部から一斉に移送され、中国当局が取締りの成果を強調しています。

中国の王毅外相は、ミャンマー軍が外相に任命したタン・スエ氏と12月に会談した際、特殊詐欺への対応をめぐる協力について言及したうえで「双方は協力をさらに強化し、特殊詐欺という腫瘍を徹底的に取り除くべきだ」と述べています。