直木賞 万城目学さん「本当にびっくり 京都にありがとう」

第170回芥川賞と直木賞の選考会が17日、東京で開かれ、直木賞に河崎※秋子さんの「ともぐい」と、万城目学さんの「八月の御所グラウンド」が選ばれました。

※河崎※さんのサキは「立つさき」

万城目学さんは記者会見で、まず、6回目のノミネートでの受賞となったことについて、「もうずっと取ることはないなと思っていて、全然緊張せずひと事のように過ごしていたので、『受賞です』と言われた時は、本当にびっくりして、こんなことあるのかと感じました。ふだんから、直木賞というのは、たまにしか隣に来なくて、目線を合わせずに別れていた賞なので、今回、袖がふれあったなという感じです」と述べました。

また、2006年のデビュー作「鴨川ホルモー」以来となる、京都を舞台にした青春小説で受賞したことについて、「京都にありがとうと言おうと思っていました。デビュー作は舞台が京都で、京都で書かなかったら小説家にはならなかったので、僕は京都におんぶにだっこの作家だなと思います」としたうえで、「デビュー作では、同世代の横の関係の話しか書けなかったのですが、47歳になった今、20代の学生と60代のおじいさん世代と、短い作品の中で縦のつながりを入れたのが、以前との差かなと思いました」と振り返っていました。

一方、選考委員から、日常の中に非日常を取り入れた点が高く評価されたことについては、「そこはくせといいますか、勝手に投げたらスライダーになってしまうのに近いところがあり、ストレートを投げたら賞がもらえるというアドバイスをもらったこともあります。ストレートを投げられるにこしたことはありませんが、どうしてもスライダーを選択してしまい、今作も同じで、受賞はできないと思っていたので、なぜ評価に変わったのか、これから聞きたいぐらいです」と話していました。