袴田巌さん再審 弁護団が取り調べの録音テープを法廷で再生

58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判で17日、7回目の審理が行われ、弁護団は取り調べの録音テープの音声を法廷で再生し、「袴田さんは長時間の執ような取り調べで自白させられ、犯人に仕立てられた」と主張しました。

58年前の1966年に今の静岡市清水区でみそ製造会社の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審は17日、7回目の審理が行われました。

弁護団は袴田さんへの逮捕後の取り調べの録音テープを分析した結果、「否認していた袴田さんに対し、執ように謝罪と反省を迫る取り調べが長時間行われた。袴田さんは身体的、精神的に限界の状態で自白させられ、事件とは関係ないのに犯人に仕立てられた」と主張しました。

その上で弁護団は、法廷でテープの音声を流しました。

再生された音声には、袴田さんが用を足したいと申し出たのに対して、警察官がトイレに行かせずに、「イエスかノーか話してみなさい」などと迫り、取調室の中で用を足させる様子などが記録されていました。

また、事件の発生から1年2か月後に現場近くのみそタンクから見つかり、袴田さんが犯行時に着ていたと検察が主張する血の付いた「5点の衣類」について、弁護団が「1年以上みそに漬けられたにしては、血痕に赤みが残るのは不自然だ」と主張しました。