自民党「政治刷新本部」会合 外部の有識者から意見聴取

自民党の「政治刷新本部」の会合が開かれ、外部の有識者から派閥の政治資金パーティーの取りやめや、政治資金規正法の改正を求める意見が出されました。

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、自民党は17日に「政治刷新本部」の会合を開き、法律や会計の専門家など、外部の有識者7人から意見を聴きました。

冒頭、岸田総理大臣は「強い危機感を持って、国民の信頼回復のため党一丸となって取り組まなければならない」と述べました。

このあと、有識者からは派閥について、
▽「解消すべきだ」という意見や
▽「人事を主導する負のイメージがあり、政策に取り組む組織とすべきだ」
といった指摘が出されました。

また、派閥の政治資金パーティーはやめるべきだという意見も出されました。

一方、政治資金規正法の改正を検討する必要があるとして、
▽収支報告書にパーティー券の購入者の名前などを記載しなければならない金額の引き下げや
▽虚偽記載があった場合、政治家も責任を負う「連座制」の導入
などを求める案が示されました。

本部は来週、改めて、すべての所属議員を対象にした会合を開き、中間的な取りまとめを行うことにしています。

大学教授 “派閥必要としない党運営 確立できるか”

現代日本政治が専門の東京大学の谷口将紀教授は記者団に対し、「『各党から出ているアイデアを全部取り込むくらいのことをしないと、国民の怒りは収まらない』などと発言した。きょうの議論をどこまで改革案に反映するのか注目している」と述べました。

一方、派閥のあり方について、「派閥を全面禁止すべきかどうかで答えるなら『イエス』だ。派閥の機能として、政策の研さんや若手の育成という意見があるが、外国では政党がやっている。派閥を必要としない党運営のあり方を確立できるかが大事だ」と述べました。

元三鷹市長 “率先してデジタル化や可視化 政治倫理研修を”

東京 三鷹市の元市長で杏林大学客員教授の清原慶子氏は記者団に対し、「国民の視点を第一に、多様な視点から検討してほしいと伝え、何よりも政治資金の透明化を図るために、率先してデジタル化や可視化をして、政治家やスタッフに政治倫理や会計の研修をしてほしいとも申し上げた。国民の目線から見て納得できる方向の刷新をお願いしたい」と述べました。

税理士 “外部の専門家を会計監査人に”

「東京シティ合同事務所」の税理士の野口光夫氏は記者団に対し、「今の制度は政治資金収支報告書に記載された支出だけで監査することになっているが、収入も含めて監査する制度を導入し、税理士や公認会計士などの外部の専門家を会計監査人とするよう提案した。身内の監査だと信頼性がなくなるので、外部監査が入ったほうがよい」と述べました。

クラウドファンディング運営企業代表 “デジタル導入を”

インターネットで資金を募るクラウドファンディングを運営する企業「READYFOR」の米良はるか代表は「政策集団としての派閥は残すことでいいと思うが、人事権やお金が付随する構造はよくない。会合ではそのような形の派閥はなくすべきではないかと話した」と述べました。

また、「クラウドファンディングをはじめ、デジタルで資金を集めることは非常に透明性にたけた手法だ。誰がお金を流し、誰が受け取ったのか、全体が不透明なことが不信につながっており、デジタルをいかに導入するかが一つの鍵になるという話もした」と述べました。

政策提言の支援企業 CEO “大事なのは国民に納得感ある政策”

政策提言の支援などを行っている企業「PoliPoli」の伊藤和真CEOは記者団に対し、「『表面的なパフォーマンスではなく、本質的な課題解決をしてほしい』と伝えた。若者は怒りよりも諦めているという感覚のほうが近く、政治と国民の信頼関係を回復してほしい。政党や派閥にとって、いちばん大事なのは国民に納得感のある政策を作ることで、この本質に立ち返ることが大事だ」と述べました。