ハマス拘束の人質に医薬品提供 ガザ住民に支援物資 双方初合意

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘によってパレスチナのガザ地区の人道状況が悪化する中、仲介するカタール政府は、ハマス側に拘束されている人質に医薬品を提供するのと引き換えに、ガザ地区の住民にさらなる支援物資を届けることで合意が成立したと発表しました。双方が何らかの合意に達するのは先月、戦闘が再開して以来初めてです。

カタール政府は16日、フランス政府の協力も得て仲介にあたった結果、イスラエルとハマスが、ガザ地区で拘束されている人質に必要な医薬品を提供するのと引き換えに、ガザ地区の最も被害を受けた地域の住民に医薬品などさらなる支援物資を届けることで合意したと発表しました。

医薬品は17日にエジプトに到着したあと、ガザ地区に運び込まれる予定で、フランス政府によると、ガザ地区で拘束されているとみられる130人以上の人質のうち、持病などのある45人に提供されるということです。

医薬品の提供をめぐっては、人質の居場所の特定につながるとして、ハマス側が難色を示していると報じられていましたが、国連がガザ地区での飢餓や感染症のまん延など人道状況の悪化に警鐘を鳴らす中、先月1日の戦闘再開以来初めて、双方が合意に達しました。

一方、ガザ地区での戦闘は続いていて、イスラエル軍は17日、南部ハンユニスでハマスの戦闘員3人をヘリコプターによる攻撃で殺害したと発表しました。

ただ、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、そのハンユニスでイスラエル軍の砲撃によって13人が亡くなり、その多くが子どもだと伝えています。

ガザ地区の保健当局によりますと、これまでの死者は2万5000人に迫っていますが、戦闘停止をめぐる交渉については、仲介にあたるカタール政府も「多くの困難に直面している」と述べるなど、進展が見通せない状況です。