「限界近い状況だった」孤立状態 少なくとも7地区56人【17日】

石川県によりますと、17日午後2時時点で輪島市、珠洲市、能登町の少なくとも7つの地区の56人が道路が通れなくなるなどして、依然として孤立状態になっているということです。

孤立状態になっている地区です。

▽輪島市
▼大屋地区の32人
▼南志見地区の1人
▼西保地区の5人
▼三井地区の3人など

▽珠洲市
▼真浦町の3人

▽能登町
▼水滝地区の5人
▼柳田信部地区の7人

依然として少なくとも7つの地区のあわせて56人が孤立状態となっています。

孤立状態になっている地区は道路が復旧するなどして徐々に解消しているということです。

このほか、孤立状態は解消されたものの、道路の状態などが不安定だとして引き続き支援が必要な「要支援集落」が多くあるということです。

能登町 柳田信部「限界に近い状況だった」

17日時点の情報では能登町柳田信部では7人が孤立状態と発表されていますが、町などによりますと、孤立していたのは社会福祉法人が運営する高齢者施設の入居者で17日午後、近くの公民館に避難したということです。

高台にあるこの施設では市街地へと続く道路が土砂で通れなくなっているほか、水や電気が使えない状況が続いていて、高齢の入居者7人はお風呂にも入れないまま、施設内に取り残されていました。

これまでは職員や自衛隊が土砂を徒歩で乗り越えて水や物資などを運んで生活を続けていたということですが、17日、自衛隊が施設から入所者を担架に乗せたり背負うなどして車で移動できるところまで下山し、午後4時までに7人を公民館に避難させたということです。

公民館には社会福祉協議から手配した福祉用のベッドが設置され、施設から車いすや入所者の荷物を運び込んだ上で、受け入れ体制を整えたということで、施設の理事長によりますと7人の体調は今のところ、問題はないということです。

社会福祉法人「多花楽会」の山森景治理事長は「長期間の孤立で職員も限界に近い状況でした。きょうの天候の条件がよいうちに急に移送をお願いすることになり、自衛隊に感謝しています。施設の利用者は公民館の生活にしばらくは慣れないかもしれないですが、生活を支えられるようしっかりと対応していきたいです」と話していました。

輪島市 西保地区「避難に抵抗があった人にも」

輪島市の西保地区では、地震で山の斜面が大規模に崩れるなどした影響で、地区につながる海岸沿いの道路が寸断され、16日の時点で石川県で最も多い85人が孤立状態となっていました。

地区で民宿を営む下善裕さん(58)が地震のあと撮影した写真には、自宅周辺の土砂が崩れ、道路に亀裂が入って隆起している様子などが記録されています。

下さんは地震から数日後に自力で地区の外に避難したあとも、ほぼ毎日、片道4時間かけて避難所と地区を行き来して地区に住む人の安否を確認したり停電や通信回線の不通で情報が得られない人に行政などの情報を伝えたりしてきました。

地区では一時、生後4か月から102歳までの300人余りが孤立状態となりましたが、その後、段階的に救助活動が進み県の発表によりますと17日午後2時の時点で、残っている人は5人で、ほぼ避難が終わりました。

ただ、道路は復旧していないということです。

下さんは「避難に抵抗があった人にも命を守るための一時的な避難の重要性を各地域の区長などと説明して回りました。避難した人からはもう自宅に戻りたいという声も聞かれるので、避難生活がいつまで続くことになるのか、できるだけ早く示して欲しいです」と話していました。