同性パートナーに遺族給付は?最高裁弁論へ 2審判決見直しか

犯罪被害者の遺族に支払われる国の給付金の対象に同性のパートナーが含まれるかどうかが争われた裁判で、最高裁判所は当事者の主張を聞く弁論を3月に開くことを決めました。判決を変更するのに必要な弁論が開かれるため、「対象には含まれない」とした2審の判決が見直される可能性があります。

名古屋市の内山靖英さん(48)は10年前、同居していたパートナーの男性を殺害され、犯罪被害者の遺族を対象にした国の給付金を愛知県公安委員会に申請しましたが、認められませんでした。

不服として内山さんが県を相手に起こした裁判では、給付金の対象とされている「事実上の婚姻関係にあった人」に同性のパートナーが含まれるかどうかが争点となり、1審の名古屋地方裁判所は「共同生活をしている同性どうしの関係を婚姻関係と同一視するだけの共通理解が形成されていない」として訴えを退けました。

2審の名古屋高等裁判所も「同性間では民法上、婚姻の届け出が想定されていない」などとして訴えを退け、内山さんが上告していました。

この裁判について、最高裁判所第3小法廷の林道晴裁判長は、ことし3月5日に弁論を開くことを決めました。

弁論は判決を変更する際に必要な手続きで、「同性パートナーは給付金の対象には含まれない」とした2審の判決が見直される可能性があります。

専門家「ほかの制度に影響の可能性も」

最高裁が弁論を開くことについて、性的マイノリティの問題に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「どのような判断になるかは分からないが、犯罪被害者の遺族に同性のパートナーが含まれることになれば、今後の審査は婚姻関係という形式的な在り方ではなく、家族としての営みなど実質的な部分が問われることになるだろう。今回の裁判は犯罪被害者遺族の給付金に限定されたものだが、見直されれば、ほかの制度の運用にも影響を与える可能性がある」と話していました。