「曲げわっぱ」江戸時代からの技術を受け継ぐ 熊本 球磨村

スギやヒノキの板を曲げて、円筒形の箱をつくる「曲げわっぱ」。

最近では、おかずやご飯がおいしく食べられることから、弁当箱として人気があります。

熊本県球磨村には、その曲げわっぱの技術が江戸時代から受け継がれ、「一勝地曲げ」と呼ばれる曲げ物が作られています。

伝統の職人芸。どうやって板を曲げているのでしょうか?

美しい木目が柔らかな曲線を形作る曲げわっぱ。「一勝地曲げ」です。
熊本県球磨村には、およそ400年前、曲げ物の技術が伝わりました。

板を曲げるのもすべて手作業

25代目の曲げ物師、淋正司さん(69)の工房です。
曲げ物作りは、すべて手作業で行われ、厚さ5ミリのヒノキの板を熱湯に入れることから始まります。

柔らかくした板は、冷めないうちに絶妙な力加減で一気に曲げます。

そして1週間ほど乾燥させると、曲げ物独特の曲線が定まります。

留め具に使うのは、ヤマザクラの樹皮。極限まで薄く削り、板の合わせ目をとじていきます。

使いやすさと美しさを兼ね備えた一勝地曲げの完成です。

25代目曲げ物師 淋正司さん
「一口に言って曲線の優しさまずもってそこでしょうね。作り手がね、心温まるものを表現していかないと」

44年にわたり研鑽

もともと建築関係に従事していた淋さん。
先代の曲げ物師だった妻の祖父に弟子入りしてから、44年にわたり技術を磨いてきました。

25代目曲げ物師 淋正司さん
「地元にいたんですけど全然知らなかったです、こういう曲げ物っていうのは不思議でたまらなかった、木が曲がっている衝撃的でした、当時は。ずっと作り蓄えてきた、歴史をこれをここで断ち切っちゃいけないとその時思いました。大事にしていかないと、ちょっとですけど使命感がわきました」

魅力を広めたい

一勝地曲げの魅力を広めたいと、淋さんはワークショップも開いています。
小学生の保護者が、組み立てを体験しました。

体験した保護者からは、「こんなに手間がかかるんだ」や「すごい楽しみ」といった声が聞かれました。

そして、体験した保護者からお弁当の写真が送られてきました。

25代目曲げ物師 淋正司さん
「感激しますね。実際にここまで見ることないですからね。お客さんの手に渡ると。こんな豪華なお弁当を作って曲げわっぱも喜んでますよ」

(1月5日「おはよう日本」で放送)