石川県募集ボランティア始動 在日米軍が物資輸送 民間の動きも

被災地を支援する新たな動きが出てきています。
金沢市では石川県が募集したボランティアが活動を開始しました。
在日アメリカ軍も支援物資の輸送を始めました。
医療や薬などの支援も続いています。

「1.5次避難所」でボランティア活動開始

能登半島地震で被災した妊婦や高齢者などを一時的に受け入れる「1.5次避難所」となっている金沢市の施設で、石川県が募集したボランティアの活動が始まりました。

金沢市の「いしかわ総合スポーツセンター」は「1.5次避難所」となっていて、現在およそ240人が避難しています。

17日からボランティアによる活動が始まり、モップを使って避難所の床を拭いたり、ドアノブを除菌したりしていました。

県によりますと、このボランティアには金沢市などに住むおよそ140人が登録していて、1日20人程度が午前6時から午後8時までの間、交代で清掃作業のほか、弁当を配ったり支援物資を運んだりして避難者をサポートするということです。

ボランティアの水戸雅之さんは「出来ることからと思い、ボランティアに応募しました。避難者の皆さんに『ありがとう』と声をかけられ、応援しようという気持ちがさらに強まりました」と話していました。

在日アメリカ軍が支援活動を開始

在日アメリカ軍による支援活動が17日から始まりました。

支援物資の輸送は防衛省からの要請で行われ、アメリカ陸軍キャンプ座間に所属するUH60ヘリコプターが石川県小松市の航空自衛隊小松基地に到着しました。

このあと、ヘリコプターには缶詰やカップ麺などの食料のほか、生理用品などが入った段ボール箱が基地にいる自衛隊員によって積み込まれ、小松基地を飛び立つと輪島市の能登空港に向かいました。

防衛省によりますと、17日は段ボール箱およそ100個分の物資が運ばれたということです。

在日アメリカ軍は今後も小松基地を拠点にヘリコプターによる支援物資の輸送を行うことにしていて、届けられた物資はニーズに応じて被災地で配られるということです。

在日アメリカ陸軍航空大隊のニクラス・C・フランク大隊長は能登空港で取材に応じ、「私たちは助けなければいけないという気持ちでいる。このような災害が起こるたびに私たちは日本のための支援を申し出たい」と話していました。

在日アメリカ軍はこれまでにも、東日本大震災の際に自衛隊と合同で「トモダチ作戦」という救援活動を行ったほか、熊本地震の際にはオスプレイによる輸送支援を行っています。

林官房長官 “アメリカの支援に感謝”

林官房長官は午前の記者会見で、「政府の要請を受け在日アメリカ軍は本日以降、航空自衛隊小松基地を拠点とし、被災者支援物資をヘリコプターで能登空港まで輸送する。現在、小松基地に在日アメリカ軍のヘリコプター2機が進出しており、輸送にあたることになる」と述べました。

その上で、「アメリカの支援に心より感謝を申し上げるとともに、日米同盟の緊密な連携のもと、引き続き全力で対応していきたい」と述べました。

七尾 被災地の妊婦受け入れ病院に医師ら派遣

石川県七尾市にある「恵寿総合病院」は能登地域で唯一の「地域医療支援病院」で、輪島市や珠洲市から出産を控えた妊婦を受け入れています。

業務がひっ迫しているため、今月9日から、被災地の医療支援に取り組むNPO法人「HuMA」から産婦人科医や助産師の派遣を受けて診療を続けています。

17日は奈良県の病院から派遣された産婦人科医の山下勇樹さんが、出産を間近に控えた妊婦を診察したり、カルテを作成したりしていました。

診察を受けた妊婦は「地震があり、この病院で出産できるか不安でしたが、これならば大丈夫だと思えて心強いです」と話していました。

また、医師の山下さんは「自分が住む地域から離れた病院に通うことを不安に感じる妊婦の方もいるとは思うが、不安が少しでもなくなるように頑張りたい」と話していました。

寿恵総合病院の新井隆成産婦人科長は「災害現場で弱い立場にある妊婦の方を診療するためには人手が必要なので、引き続き支援をお願いしたい」と話していました。

薬局機能を備えた車両が支援活動

能登半島地震の被災者に必要な医薬品を提供しようと、石川県珠洲市や輪島市などには薬局の機能を備えた車両が全国の薬剤師会から派遣され、支援活動にあたっています。

能登半島地震の被災地では高血圧や糖尿病の薬など、日常使う医薬品が不足しています。

全国の7つの薬剤師会は被災者に必要な医薬品を提供しようと、薬局の機能を備えた「モバイルファーマシー」と呼ばれる特殊な車両を珠洲市や輪島市など4つの自治体にこれまでにあわせて7台、派遣しました。

このうち、17日に珠洲市で公開された車両は、2016年の熊本地震や2018年の西日本豪雨の被災地でも支援にあたったということです。

車両には最大でおよそ500種類の薬を保管できるケースのほか、錠剤や粉末の薬剤を個別に包装できる機械などが備えつけられています。

車両を派遣した広島県薬剤師会によりますと、珠洲市では市内にある唯一の薬局が被災して営業できなくなっていて、薬の処方までに4日かかったケースもあったということです。

広島県薬剤師会災害対策委員会の串田慎也委員長は「移動できるメリットを最大限に活用して、必要な人に薬が行き渡るようにしていきたい」と話していました。車両は今後、珠洲市の避難所などで活動を行う予定です。

民間企業も 被災者支援へ情報発信

民間の企業の間で、被災者が活用できる情報や被災地の被害の情報を発信する動きが広がっています。

インターネット広告配信大手の「LINEヤフー」は自治体が発表するLアラートの情報をもとに、避難所の場所や避難者数、混雑状況などをリアルタイムで確認することができるサービスを始めました。

利用者が地域を事前に設定すれば、こうした情報が自動的に通知されるということです。

さらに、被災した石川県と新潟県、それに富山県を対象に、給水所、入浴やトイレなどの支援が行われている場所や通行止めの情報を地図上で確認することができるサービスもあります。

開発の担当者は「避難先の情報などをいち早く入手し、判断の材料として活用してほしい」と話していました。

また、民間の気象情報会社「ウェザーニューズ」は能登半島地震の被災地を支援するサイトを開設しました。

被災した自治体の地点ごとの詳しい天気や土砂災害の危険度、さらに災害用ドローンの飛行に役立ててもらうため、上空の気象情報などを掲載しています。

また、被災地にいる一般の利用者から寄せられた被害などに関する投稿を地図上で掲載するページを今回、初めて作成しました。

これまでに5000件以上の投稿が寄せられ、サービスを始めた今月1日からしばらくは家屋の倒壊や道路の陥没など地震の被害に関する内容が多く、その後はライフラインの復旧情報や避難所の状況などの内容が多く寄せられていて、現地で何が必要かをリアルタイムで把握できるということです。