自民 政治刷新本部 全議員対象に会合 派閥については両論

自民党は、すべての所属議員を対象に16日「政治刷新本部」の会合を開きました。派閥について、出席者から国民から疑念を持たれているなどとして解消すべきだという意見が出された一方、人材育成などの観点から必要だという指摘が出されました。

会合には、およそ150人が出席し、冒頭、岸田総理大臣は「自民党に国民の厳しい目が注がれ、国民から疑念の思いが向けられている状況を極めて深刻な事態だと受け止め、強い危機感を持って一致結束して向き合わなければならない」と述べました。

会合はおよそ3時間にわたって開かれ、派閥について出席者から「国民から疑念を持たれている以上は解消すべきだ」という意見が出された一方「人材育成や情報共有の役割もあり、必要だ」という指摘が出されました。

また「派閥を残すとしても資金集めや人事の調整は行わない組織に改めるべきだ」という声が相次ぎました。

一方、再発防止に向けて政治資金規正法の罰則強化が必要だと主張する意見も複数出され、収支報告書に虚偽記載があった場合、政治家も責任を負う制度を導入する案などが示されました。

このほか「一連の問題の経緯などについて誰からも説明がないのはおかしい」という声や、安倍派の複数の議員からは「安倍派は解散すべきだ」という意見も出されました。

本部は、17日、法律や会計の専門家など外部の有識者から意見を聴くとともに、改めてすべての所属議員を対象にした会合を開き、中間的な取りまとめに向けて意見集約を進めることにしています。

無派閥 和田参院議員「派閥を全廃すべき」

無派閥の和田政宗参議院議員は、記者団に対し「『政治改革大綱』での国民との約束を果たすため、派閥を全廃すべきだと訴えた。また党に強力な監査機関を設けて、法を犯すようなことがあれば除名や立候補の禁止をして党として対応すべきだと申し上げた。中途半端なことをやると政権を失う危険性もあると思っており、党改革をしっかりやるべきだ」と述べました。

無派閥 三原元厚生労働副大臣「派閥解消し一から議論を」

無派閥の三原じゅん子元厚生労働副大臣は記者団に対し「派閥というものが国民に疑念を持たれているのでまずは解消して一から議論をスタートすべきだ。本部では、平成元年の『政治改革大綱』を見直して厳守すべきだという人たちもいたし、派閥を解消すべきだという声も多かった。それだけ危機感があるし、やらなければならない」と述べました。

安倍派 岡田参院幹事長代行「派閥にかかわらず参加の責任」

安倍派の岡田参議院幹事長代行は記者団に対し「党を挙げての議論なので、どこの派閥に属しているかにかかわらず、議論に参加する責任がある。しっかりと厳しい意見にも耳に傾けることがわれわれの役目だ」と述べました。また自身の説明責任について「安倍派として説明責任を果たすのと同じタイミングでしっかりと説明したい。遠からずと思っている」と述べました。

安倍派 宮沢前防衛副大臣「安倍派は解散すべき」

ノルマを超えたパーティー券収入について、かつて派閥から「政治資金収支報告書に記載しなくてもよい」という指示があったことを明らかにした安倍派の宮沢博行前防衛副大臣は記者団に対し「党や国民に迷惑をかけている以上、安倍派は解散すべきだと意見した。私は派閥に残り安倍派の介しゃくをする覚悟だ。他にも派内の複数から意見が出たのでしっかり進めたい。順法精神の欠如による問題であり、罰則の強化も必要だ」と述べました。

安倍派 松本防衛政務官「1期生入らず どこが『刷新』か」

1期生で安倍派の松本尚防衛政務官は記者団に対し「本部のメンバーに1期生は誰も入っておらず、どこが『刷新』なのか。当選回数で物事を決めるのはやめるようはっきり求めた。自民党の人事が全部、当選回数で決まっていることもおかしく、人を見て決めるべきだ」と述べました。

安倍派 若林衆院議員「パーティ禁止 安倍派も解散すべき」

安倍派の若林健太衆議院議員は記者団に対し「派閥の政治資金パーティーは、一切禁止にした方がよいのではないかという話をした。安倍派『清和政策研究会』も解散すべきだと言った」と述べました。

森山派 田野瀬元文部科学副大臣「しっかり刷新を」

森山派の田野瀬太道元文部科学副大臣は、記者団に対し「本部では『しっかり刷新していきましょう』と申し上げた。私は派閥そのものは悪ではないと思っている」と述べました。

二階派 中曽根氏「悪しき慣習引きずった派閥なくすべき」

二階派の中曽根康隆青年局長代理は記者団に対し「政治資金規正法について連座制などの厳罰化やカネの動きの透明性を確保すること、また派閥については人事の調整やパーティーを廃止し、今の悪しき慣習を引きずった派閥はなくすべきだと申し上げた」と述べました。

二階派 鷲尾元外務副大臣「派閥役割はある パーティは禁止を」

二階派の鷲尾英一郎元外務副大臣は記者団に対し「派閥は人材育成や組織をまとめるなど、重要な面もあるので、そこはしっかりと考えていただきたいという話をした。派閥は一定程度役割はあると思うが、派閥の政治資金パーティーは、金輪際禁止すべきだということも申し上げた」と述べました。

麻生派 山田元外務副大臣「派閥や集団否定せず」

麻生派の山田賢司元外務副大臣は記者団に対し「同じような考えや政策の人が集まって、その意見を広げていくこと自体は民主主義なので、派閥や集団を否定するものではない。『派閥があるからだめ、派閥をなくせばよくなる』のではなく、国会議員自身のきょうじが求められている」と述べました。また「派閥の有無が問題ではなく、法律をきちんと守ることが大事だ。起訴される、されないとは別に党として事実関係を確認し処分して改めていかなければならない」と述べました。

立民 岡田幹事長「裏金関与議員の議論参加は異様」

立憲民主党の岡田幹事長は記者会見で「『政治刷新本部』のメンバーに裏金に関与したかもしれない議員がいると報じられている。こうした議員が、国民に対する説明や謝罪もなく、当たり前のように政治刷新の議論に参加しているのは異様だ。本人はもちろん、岸田総理大臣の姿勢も問われなければならない」と述べました。

また、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件に関連し「安倍派幹部の立件が見送られると報じられ大変驚いたし、全くおかしなことだ。派閥ぐるみであることが非常に問題で、会計責任者だけが責任を取って立件され、派閥幹部は何事もなかったかのように終わってしまうのはありえない」と述べました。