北朝鮮 キム総書記 電力不足解消へ原発の建設進める考え

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、最高人民会議で行った演説で、電力不足を解消するため原子力発電所の建設を進める考えを示しました。北朝鮮は電力供給のためとして実験用軽水炉を建設中で、ことしの夏ごろに本格的な稼働を始めるという見方もあり、関係国が動向を注視しています。

16日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、キム・ジョンウン総書記が15日、最高人民会議で行った演説で、原子力発電所について言及したと伝えました。

この中でキム総書記は「今後、原子力発電所なども運営するようになれば、いくらでも動力不足を解決できる」と述べ、電力不足を解消するため原発の建設を進める考えを示しました。

北朝鮮は、核施設が集まる北西部ニョンビョン(寧辺)で、実験用軽水炉を建設中です。

これについて、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、先月発表した声明で、冷却システムからの温水の排出が確認され、原子炉で核分裂反応が連続する臨界状態に到達した兆候があると指摘していました。

また、韓国のシン・ウォンシク(申源●)国防相も、北朝鮮の軽水炉がことしの夏ごろに本格的な稼働を始めるという見方を示しています。

北朝鮮は、軽水炉の目的について、電力供給のためだと主張していますが、核兵器の原料にもなるプルトニウムの製造能力が高まることや、北朝鮮が保有を目指す原子力潜水艦の開発に利用されることが懸念されていて、関係国は動向を注視しています。

※(申源●)の●は「さんずい」に「是」。