ウクライナ提唱の和平案を話し合う協議 議長声明を見送り

ウクライナが提唱する和平案について欧米や新興国などが話し合うためスイスのダボスで14日開かれた協議では、議長声明の発表が見送られ、背景には、ロシアとの関係も重視する国々の強い反対があったことがわかりました。多くの関係国の同意を得ながら、和平に向けた道筋を探る難しさが改めて浮き彫りになりました。

スイスのダボスでは14日、ロシア軍の撤退や領土の回復など、ウクライナが提唱する10項目の和平案について話し合う4回目の協議が開かれました。

G7=主要7か国や、グローバル・サウスと呼ばれる新興国の高官などが参加し、ウクライナ側は、80を超える国と国際機関が参加し、大きな成果が得られたとしています。

ただ、議論の成果をまとめた議長声明の発表は見送られ、外交筋によりますと、その背景には、ロシアとの関係も重視するブラジルやインド、サウジアラビアの高官が強く反対したことがあったということです。

結局、メディア向けの声明が発表されましたが、すべての参加国の意見が反映されているわけではないとも記されていて、反対する国々への配慮もうかがえます。

ロシアによる軍事侵攻が始まって2月で2年となる中、欧米や新興国などは、この協議の枠組みで和平のあり方をめぐり議論を始めていますが、多くの関係国の同意を得ながら、その道筋を探る難しさが改めて浮き彫りになりました。

ロシア “ロシア抜きの協議は意味がない” 軍事侵攻の継続強調

スイスのダボスで開かれた、ウクライナが提唱する和平案について話し合う協議について、ロシア大統領府のペスコフ報道官は15日、記者団に対し、「これは本質的に議論のための議論だ。成果の達成を目標としていない。われわれが参加していないからだ」と述べ、ロシア抜きで行われた協議は意味がないとけん制しました。

そのうえで、「ロシアは平和的な解決を望んでいるが、欧米側、ウクライナ側が消極的なので不可能な状況だ。目標を達成するために特別軍事作戦を継続する」と述べ、ウクライナ側が停戦交渉を拒否していると一方的に主張し、軍事侵攻を続ける姿勢を強調しました。