軽井沢スキーバス事故8年 遺族 国 バス業界らの意見交換会

長野県軽井沢町で起きたスキーツアーのバス事故から8年になる15日、遺族の代表や国、それにバス業界の関係者らが町内で意見交換会を開き、国がバスの安全運行のための支援を今後も実施していくことなどを確認しました。

遺族の呼びかけで軽井沢町役場で開かれた意見交換会には、遺族の代表や国、それにバス業界の関係者などおよそ40人が出席しました。

はじめに、事故で息子を亡くした遺族会代表の田原義則さんが「事故直後に感じた気持ちは8年がたった今でも忘れません。事故のことを思い出してもらい、この会を安全なバス運行のきっかけにしたいです」とあいさつしました。

続いて、国土交通省の國場幸之助副大臣が「コロナ禍もありバス業界を取り巻く環境は厳しいと思うが、安全は何よりも優先されるべきことだ。遺族会の活動に最大限協力していきたい」と述べました。

意見交換会は非公開で行われましたが、出席者によりますと、ことし4月からバス点呼の録音と録画の保存が義務化されるなど、安全対策が強化されることを踏まえ、遺族側から安全対策にかかる費用を国が支援すべきだという意見が出されたのに対し、国側は「バス会社をサポートしていく」などと回答したということです。

事故現場近くの慰霊碑で犠牲者を追悼

意見交換会のあと遺族や国、それにバス業界の関係者などが事故現場近くの慰霊碑を訪れ、順番に献花を行い犠牲者を追悼しました。

このあと取材に応じた日本バス協会の清水一郎会長は、「バス事業の最大の使命が安全であるという決意を新たにした。バス事業者にとって運転手不足が深刻化しているが、安全を守るためにわれわれの役割を果たしていきたい」と話していました。

事故をめぐっては、バスの運行会社の社長と運行管理担当だった元社員が業務上過失致死傷の罪に問われ、長野地方裁判所は去年6月、大型バスに不慣れな運転手が死傷事故を起こす可能性を予見できたのに、必要な訓練を行わなかったなどとして実刑判決を言い渡しましたが、無罪を主張していた2人はいずれも控訴しています。

大学2年生で事故の犠牲になった田原寛さんの父親の義則さんは、「8年前にこの場で見たことや感じたことを思い出します。あんな事故を起こしてはいけないということを息子と約束して活動してきました。1審判決は私たちの思いが認められたが、今後の裁判でも被告の2人には本当のことを証言してほしい」と話していました。