タイ政府 若者をボランティア派遣 受け入れ先の山梨で任命式

タイ政府は、海外からの観光客の誘致を進める日本の自治体を支援しようと、タイの若者をボランティアとして派遣する取り組みを本格的に始め、受け入れ先となる山梨県北杜市で任命式が行われました。

ボランティアを派遣するのはタイ外務省国際協力機構で、日本のJICA=国際協力機構が実施する「海外協力隊」をモデルにつくられた国際協力の枠組みを活用します。

15日は北杜市役所で任命式が行われ、ボランティアとして派遣されたタイ人のアンチャリーポン・パリサウォンさん(30)に上村英司市長から任命書が手渡されました。

派遣期間は1年間で、観光コーディネーターとして市の魅力をSNSで発信したり、タイ国内の観光イベントでPRしたりするなど、タイ人観光客の誘致に取り組むということです。

ボランティア “魅力を発信していきたい”

パリサウォンさんは「北杜市には美しい自然の魅力があり、市の暮らしに関わることを楽しみにしています。タイ人はSNSをよく使うので、魅力を発信していきたい」と話していました。

北杜市観光課の土屋直己課長は「外国人観光客の誘致を目指してはいるものの、残念ながらまだたくさん来ているわけではない。タイ人目線での情報発信で市の認知度が向上することを願っている」と話していました。

タイ外務省では、これまで短期のボランティアを北海道や熊本県の自治体に派遣したことはありますが、1年間という長期の派遣は今回が初めてだということです。

タイ外務省「タイと日本の関係 新たな段階に」

タイ外務省国際協力機構のウリーラット・チャルントー局長は「タイが先進国である日本のような友好国を支援するチャンスを得たことは誇るべきことだ。ボランティアが持っている経験や専門知識は、日本に足りていないものを支援するうえで役立つだろう」と述べ、これまで支援される側だったタイから日本にボランティアを派遣する意義を強調しました。

そのうえで「日本への派遣は、タイと日本の協力関係が新たな段階に入ったことを示している。取り組みを通じてタイと日本の関係がさらに深まり、安定したものになると信じている」と述べました。