地震発生時 輪島や珠洲 市外からの訪問者1割 ビッグデータ分析

1月1日に発生した能登半島地震では、ふるさとに帰省していて被災した人も数多くいましたが、研究者によるビッグデータの分析で、石川県輪島市や珠洲市などでは市の外から訪れていた人の割合が1割ほどを占めていたことが分かりました。研究者は「地域に慣れていない人がいたかもしれず、津波などの対策を考える際にはこうした可能性も考慮すべきだ」と指摘しています。

今回の地震ではふるさとへの帰省中に建物の倒壊に巻き込まれたり、定員を超える人が避難所に避難せざるをえない状況となったことなどが明らかになっています。

東北大学災害科学国際研究所のマス・エリック准教授らの研究グループは、NTTドコモが携帯電話の基地局からプライバシーを保護した形で集めたデータを使い、輪島市と珠洲市、能登町、穴水町のそれぞれ中心部の人口データを分析しました。

それによりますと、4つの市町以外の人の割合は年末にかけて徐々に増加し、マグニチュード7.6の大地震が発生した今月1日の午後4時台は、
▽輪島市が12.2%
▽珠洲市が9.2%
▽能登町が8.5%
▽穴水町が11.5%
と、いずれも全体の1割ほどを占めていたことが分かりました。

また、変化を標高別にみてみると、最大震度7の揺れを観測した地震の直後に標高10メートル以上にいた人は推定で1万人から1万5000人と短時間で急激に増えた一方、10メートル以下にいた人は大幅に減っていました。

マス准教授は、停電などの影響でデータの精度が下がっている可能性はあるとしたうえで、当時、これらの自治体には帰省などでふだんよりも多くの人がいて、大津波警報の発表を見聞きするなどして高台へ避難したとみられることがデータからも分かったとしています。

マス准教授は「地域に慣れていない人がいたかもしれず、どこに逃げればいいか、避難所がどこにあるか分からず、混乱につながっていたおそれがある。津波などの対策を考える際には、住民以外の人が滞在している可能性を考慮すべきだ」と指摘しています。