「無事と伝えて」孤立状態 少なくとも15地区415人【15日】

石川県によりますと、15日午後2時時点で輪島市、珠洲市、能登町の少なくとも15地区の415人が道路が通れなくなるなどして、依然として孤立状態になっているということです。

孤立状態になっている地区です。

▽輪島市
▼大屋地区の46人、▼鵠巣地区の6人、▼町野地区の11人、▼南志見地区の9人、▼西保地区の93人、▼浦上地区の1人、▼七浦地区の2人、▼三井地区の8人など。

▽珠洲市
▼真浦町の3人、▼清水町の8人、▼片岩町の21人、▼長橋町の38人、▼大谷町の157人。

▽能登町
▼水滝地区の5人、▼柳田信部地区の7人。

依然として少なくとも15地区のあわせて415人が孤立状態となっています。

このほか孤立状態は解消されたものの、道路の状態などが不安定だとして引き続き支援が必要な「要支援集落」が多くあるということです。

珠洲市真浦町「無事だと伝えて」

石川県珠洲市真浦町は発災から2週間となる15日も孤立した状態が続いているということです。

珠洲市の沿岸部にある真浦町は地区につながる道路が地震で通れなくなり、孤立状態となりました。

国土地理院が発災の翌日に珠洲市真浦町の北側を撮影した画像です。

発災前の画像と比較すると、町の北側にのびる国道249号線のトンネルの入り口が、山から崩れた土砂によって完全にふさがれているのがわかります。

また、海岸沿いの道路もこの土砂によって寸断されていることが分かります。

自衛隊がヘリコプターで高齢者や持病がある人などを優先して避難させましたが、県の発表によりますと、今月3日時点で8人が残されていました。

14日の発表でも3人が残されていて、このうちの1人とみられるイケダユキオさんという男性から15日午前、電話で話を聞くことができました。

男性は「いまは私たち夫婦と息子の3人がいます。真浦町につながるトンネルが2つともふさがっていて、外に出ることができません。携帯電話の充電も少なくなっています。3人が無事だということを伝えてください」と話していました。

珠洲市大谷町「2週間が長い」

珠洲市の沿岸部にある大谷町は、地区につながる道路の多くが損傷を受けて通行が難しく、石川県の発表では地震から2週間がたった15日も157人が孤立状態にあります。

多くの人が大谷小中学校の体育館に避難していて、避難所の責任者を務める川端孝さんが15日NHKの電話取材に応じました。

川端さんは「この地域では去年5月にも地震がありましたが、今回の地震は今までに感じたことがないほど強く、長い揺れを感じ、本当に命の危険を感じました。町は壊滅的な状況です。避難所の体育館には地区の人たちが着の身、着のままで避難してきていて、『2週間が長い』と言いながら協力して生きてきました。電気や水道も止まっている状況でしたが、年始ということもあり、各世帯で買っていた食料や灯油を持ち寄り、水は浄水場から直接ポンプを引いてくみ上げて生活をしていました」とこの間の生活を話しました。

1本の細い道 通れなくなったら

地区につながる道路の多くが通行が難しい状態ですが、定期的に自衛隊員が食料や飲み水などの支援物資を届けてくれているということです。

断水はいまも続いていますが、電気は送電の車両を使って15日午後5時ごろに避難所は2週間ぶりに復旧したということです。

川端さんが地区の中を撮影した写真からは、隆起した道路や複数の住宅などが完全に倒壊している様子がわかります。

また、避難所で地域の人たちが協力しながら暗い部屋で炊き出しを行う様子やきょう夕方、被災者が過ごす体育館に明かりが灯った様子も撮影されています。

いま避難所にいるのは、自分で避難することが難しい高齢者や介護が必要な人たちが多いということで、川端さんは「今は食べ物については届くようになり足りてきています。ただ、靴下や下着といった着る物が足りず、衛生的にもかなり心配です。地震後、砂利などを敷いて整えた1本の細い道が唯一のライフラインで、昨夜も大雨が降りこの道が土砂崩れで通れなくなったらどうしようという思いを持っているので、一刻も早く、住民の皆さんを安全な場所に移したいと考えています」と話していました。

輪島市西保地区 停電 電波まったく通じず

西保地区は15日午後2時の時点で93人が残されています。

西保地区の小池町で民宿を営む下善裕さん(58)によりますと今月6日ごろから自衛隊のヘリコプターで物資が届くようになり、飲み水や食料はありますが、西保地区では停電が続いていて電波もまったく通じないため、発災から2週間となるいまも電話が一切できず、情報が遮断されているということです。

下さん自身は今月6日に自力で地区を離れ避難しましたが、その後もほぼ毎日、片道4時間かけて避難先と西保地区を行き来し、救助が必要な人の情報などを自衛隊や市役所に伝えているということです。

下さんは「地震で逃げる際に2階から飛び降りて足を骨折した男性や避難生活の長期化で体調が悪化した人、それに、ふだん飲んでいる薬がなくなりかけている高齢者などもいて、自衛隊に救助を要請しました。小池町だけでもいまも40人近くが自宅で避難生活を送っている状況です。高齢者も多く、厳しい寒さが続く中、さらに体調を崩すおそれもあるため早く救助を進めてほしい」と訴えています。

避難できたとしても

下さんが今月3日に撮影した小池町の写真では、被災前は海岸沿いにあった道路や農地が数百メートルにわたって崩落し、建物のすぐ脇まで土がむきだしになっている様子が確認できます。

下さんによりますと地区の中で赤崎町大沢町上大沢町は避難が済んでいますが、そのほかの地区では孤立状態が解消するめどはいまも立っていないということです。

下さんは「ここから避難できたとしても今後の避難生活の見通しについて情報がまったくないため、不安に思っている人も多い」と話していました。