南太平洋の島国ナウル 台湾と断交 中国と国交樹立へ 声明発表

南太平洋の島国、ナウルは15日声明を発表し、台湾と断交し、中国と国交を結ぶことを明らかにしました。中国は、歓迎する意向を示した一方、台湾総統選挙の直後に発表された背景などについてはあくまでもナウルの判断だったと強調し、中国の関わりを否定しました。

ナウル政府は、日本時間の15日午後、SNSに声明を投稿し「国と国民の最大の利益のため」として、台湾と断交し、中国と国交を結ぶことを明らかにしました。

この中では「台湾は、独立した国ではなく中国の領土の一部として承認する。これは台湾との国交を断絶し、いかなる公式な関係や交流も展開しないことを意味する」としています。

南太平洋の島国ナウルは、面積は東京 品川区にあたるおよそ21平方キロメートルで人口は1万2000人ほどです。

2002年に中国と国交を樹立したあと、3年後に再度、台湾と国交を結んで中国とは断交していて、最近は、中国を批判するなど厳しい姿勢を見せていました。

それだけに今回の判断の背景に関心が集まっています。

中国外務省の毛寧報道官は15日の記者会見で、ナウルの決定について「称賛し、歓迎する」として国交を回復させる方針を示しました。

一方、台湾総統選挙の直後の発表となった背景や中国がナウルに経済援助を行ったかどうかについて聞かれたのに対して「ナウルが主権国家として自主的に選択したものだ」と述べ、あくまでもナウルの判断だったと強調し中国の関わりを否定しました。

太平洋の島しょ国などの中では、2019年にキリバスとソロモン諸島が、台湾と断交して、中国との国交を樹立するなど、中国の影響力が広がっていて、アメリカやオーストラリアは警戒を強めていました。

台湾 ナウルとの外交関係断絶を発表 中国を強く非難

台湾外交部の田中光次長は15日午後、台北で記者会見し「国家の主権と尊厳を守るため、ナウルとの外交関係を即日、終了する」と述べ、ナウルとの外交関係の断絶を発表しました。

田次長は、ナウル側が陸上競技場の建設費用などで資金不足に陥り、台湾と中国の援助を比較したうえで台湾に巨額の経済支援を求めていたことを明らかにし、「中国が金銭外交で多額の資金をつぎ込み誘惑している。ナウル側が中国と国交の樹立に向けた交渉を行っていることは遺憾だ」と強調しました。

そして「総統選挙が終わった重要な時期に台湾の人々が誇る民主主義と自由に打撃を与える意図だ」と述べ、中国を強く非難しました。

また、田次長は13日に行われた総統選挙のあと、ナウル側から祝電を受け取っていたものの連絡が来たのは、断交について発表する記者会見が始まるわずか2時間半前だったとしています。

田次長は「中国は台湾に打撃を与えるため、どの国かは言えないがまだ何かをしようとしている」と述べ、中国が台湾への圧力として外交関係がある国への切り崩しを行っているという見方を示しました。

台湾 蔡政権 中国の切り崩しで10か国と断交

台湾は、2016年5月に民進党の蔡英文政権が発足した時点で、22か国と外交関係を持っていました。

しかし、「台湾は自国の一部だ」と主張する中国が、これを受け入れない蔡英文政権への圧力として切り崩しを続けています。

これまでに
▽中米・カリブ海で5か国、
▽オセアニアではナウルを含めて3か国、
▽アフリカで2か国の合わせて10か国が台湾と断交し、外交関係を持つ国の数は12に減りました。

13日投票が行われた台湾総統選挙では、蔡英文路線の継承を掲げた民進党の頼清徳氏が当選し、中国の外交攻勢が続くのは確実です。

ナウルが台湾と断交し、中国と国交を結ぶと発表したことについて、台湾総統府と民進党は、「北京が総統選挙の終了後、直ちに外交的な圧力をかけたのは、民主主義の価値に対する報復であり、それ以上に国際社会の安定と秩序に対して公然と挑戦するものだ」と非難しました。