東日本大震災など、過去の災害でも支援経験のある赤坂さんによると、能登半島地震の被災地の状況は、東日本大震災を思い出すくらいの厳しい状況だということです。
被災地では一部の学校が再開して、学校に通えている子どももいますが、まだ多くの子どもたちが避難生活を続けているということです。
【動画解説】災害時 子どもの心のケア 周囲ができることは
自然災害など危機的な出来事に直面した子どもたちのこころを傷つけないためには、周りの大人が、どう接すればいいか。
災害時の子どもの心のケアに詳しく、1月に、能登半島地震の被災地でも支援活動にあたった国際NGOの「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」の赤坂美幸さんに聞きました。
被災した子どもの現状は
子どもたちが示す反応は
年齢の低い子どもたちは、地震以降、親から離れなくなる子もいるということで、赤坂さんたちが石川県七尾市で運営する、子どもたちのための遊び場「こどもひろば」でも、母親のそばで離れずに遊ぶ子どもの様子が見られたといいます。
一方、小学生ぐらいの子どもは、災害で起きた出来事を遊びの中で表現することがあり、これまでの被災地では、子どもたちが地震ごっこや、洪水ごっこなどをするケースもありました。
赤坂さんは、こうした遊びの中で経験や感情を表すことは、子どもの自然なストレスの対処方法だとして、危険でなければ止めずに、そのまま遊ばせてほしいとしています。
周囲の大人ができることは
災害を経験した子どもたちのこころを傷つけずに、周りの大人が接するための方法について、赤坂さんは「子どものための心理的応急処置」として、「見る」「聴く」「つなぐ」という、3つのポイントを紹介しています。
これらは、心理や精神保健の専門家でなくても、誰もが使える方法です。
【1. 見る】
まず、子どもや支援者自身の安全が確保されているか、周囲の状況を確認します。
明らかに困っている子どもはいないか、親や養育者であれば、子どもの様子がふだんと違わないか見守ります。
【2. 聴く】
次に、支援が必要であろう子どもに寄り添いながら、必要なことを訪ねます。
ただ、注意してほしいこととして、子どもに根掘り葉掘り起きたことを聞くのではなく、子どものほうから話し始めたら、その話に耳を傾けるというのがポイントになります。
【3. つなぐ】
子どもの話の中に、支援が必要としていることが出てきたら、それが満たされるように、情報を紹介したり、専門家につなぎます。
環境が変わる子どもたちへの心のケアを
地震の発生から2週間がたち、住み慣れた土地から2次避難をする子どもが出てきたり、学校が再開されたりするなど、環境の変化が今後も続きます。
赤坂さんは「子どもも大人と同じように、大きな環境の変化は心の負担につながっている」と指摘しています。
そのうえで、「子どもの様子がふだんと異なり、日常生活に支障が出ていれば、避難所にいる医療者や、地域の保健師、学校の養護教諭などの専門家に、ためらわずに相談してほしい」と話していました。
(1月15日12:30~「NHKニュース」で放送)
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