新型コロナ 国内で初確認から4年 感染と後遺症への対策が課題

国内で新型コロナウイルスの感染が初めて確認されてから、1月15日で4年です。新たな変異ウイルスが世界的に増加しつつあることに加えて、感染後の後遺症の相談も各地で相次いでいて、今後も感染対策とあわせて後遺症への対策をどう進めるかが課題になっています。

新型コロナウイルスは、4年前、2020年の1月15日に、国内で初めての感染が確認され、新型コロナで亡くなった人は、人口動態統計で去年8月までに※9万5830人に上っています。
(※人口動態統計から算出した死者数)

去年5月に感染症法上の位置づけが5類に変更されて以降、国は患者や医療機関への公費での支援を縮小してきました。

現在も
▽新型コロナワクチンの無料接種や
▽高額なコロナ治療薬への一部公費負担
▽入院医療費の補助
▽医療機関への支援などは続けていますが、これらの支援は今年度末までが期限となっています。

このうち、新型コロナのワクチン接種は、新年度から65歳以上の高齢者などに最大7000円程度の自己負担を求める方針です。

新型コロナウイルスは次々変異を繰り返しながら流行を続けてきていますが、現在は、オミクロン株の1種の「JN.1」という変異ウイルスが世界的に増加しつつあり、WHO=世界保健機関が監視しています。

さらに、新型コロナに感染したあとに倦怠感などが続く「後遺症」の相談も各地の医療機関に相次いでいます。

新型コロナが今後、季節性インフルエンザなど他の感染症と同様の扱いに移行される中で、今後も感染対策とあわせて、後遺症への対策をどう進めていくかが課題になっています。

4年間で次々と現れた変異ウイルス

オミクロン株

新型コロナウイルスは、この4年間で次々と変異ウイルスが現れ、流行の主流となるウイルスが入れかわってきました。

4年前の2020年に国内で初めて新型コロナの患者が確認された際のウイルスは、中国 武漢で見つかったウイルスと同じ種類でした。

しかし、2020年後半にはイギリスで感染力がより強まった変異ウイルスが見つかり、2021年に入ると国内でもこのウイルスが流行の主流となりました。

この変異ウイルスは後に「アルファ株」と呼ばれるようになります。

世界各地で新たな変異ウイルスが次々と見つかったことから、WHO=世界保健機関が、特定の国への差別的な扱いを防ぐため、変異ウイルスに「アルファ」や「ベータ」といったギリシャ文字による呼称を使うことを奨励したためです。

2021年、コロナ禍で延期されていた東京オリンピック・パラリンピックが開催された夏ごろには、重症化リスクが高まった「デルタ株」が急拡大し、2022年には「オミクロン株」が主流となりました。

その後もウイルスは変異を続け、2023年、主流となったのはオミクロン株の1種「XBB」と呼ばれる変異ウイルスでした。

現在は、オミクロン株の1種の「JN.1」という変異ウイルスが世界的に増加しつつあり、WHO=世界保健機関が監視しています。

この「JN.1」は免疫を回避する力が強まっているとみられ、感染者数が増えている国もあることから、国内でも再び感染が広がることが懸念されています。

感染状況 増加の傾向続く 能登半島地震の避難所でも

感染症法での位置づけが5類に移行された去年5月から、新型コロナウイルスの感染状況を示すデータは「全数把握」から、全国およそ5000の医療機関からの報告をもとに公表する「定点把握」に変わりました。

この定点把握のデータによりますと、全国の感染状況は、去年5月から感染者の増加が続き、去年の8月28日から9月3日までの1週間には1つの医療機関当たりの患者数が20.5人と、5類移行後ピークとなりました。

その後、減少傾向となりましたが、去年11月下旬に再び増加に転じたあと、現在まで増加傾向が続いています。

さらに、厚生労働省によりますと、今月の能登半島地震の被災地では避難所などで新型コロナの感染が広がり始めているということで、多くの住民が避難していて密になりやすく、断水で手洗いなどの感染対策も取りにくい中で、厳しい状況が続いています。

今後も、引き続き感染を拡大させないための対策が求められています。

専門家「流行はまだまだ年単位で続く」

感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、新型コロナの患者が国内で初めて確認されてから4年がたつことについて、「最初に中国で新型コロナが発生した当初は、流行がこんなに長期にわたるとはあまり考えていなかった。しかし、実際に流行は起こり、多くの人命が失われ、今も流行が続いている。最初の1年間はウイルスにあまり大きな変化はなく、その時点では変異ウイルスがこんなに出てくることは予想できなかったと思う。これだけ流行が長期化しているのは、ウイルスが変異していることも大きな要因だと思う」と話しました。

そして、「免疫がついたかと思うと、その免疫をかいくぐる新しい変異ウイルスの派生型が出てきている状況で、流行はまだまだ年単位で続くと考えたほうがいいと思う。新型コロナは、インフルエンザと同じように次の冬に流行する株をある程度予測して、秋にワクチンを接種していく状況になると考えられる。第2のインフルエンザのような存在として、地球上に残るのではないか」と話していました。

能登半島地震の避難所などで新型コロナの感染が相次いでいることについては、「避難所を中心に新型コロナのような飛まつ感染や接触感染を起こす感染症が拡大することは、当初から予想されていた。現地では感染状況の調査もできない状況なので、感染が拡大することを前提に対応していく必要がある。密な空間ではマスクをしてほしいし、水が手に入らない中だが、なるべく手洗いをしてほしい。検査キットや消毒薬、治療薬が潤沢に流通するように被災地を支援してほしい」と話していました。