台湾総統選挙 SNSで中国対抗の候補批判 中国の関与疑う分析も

今回の台湾総統選挙を巡っては、SNS上で複数のアカウントが繰り返し特定の候補を批判したり、ハッキングされたルーターが投稿に使われたりするなどの動きが確認されました。台湾のセキュリティー会社は中国が関与した疑いがあると分析しています。

台湾のセキュリティー会社「TeamT5」は、今回の総統選でサイバー空間での中国の関与が疑われる影響工作を調査するため、数千に及ぶSNSアカウントやネット掲示板の書き込みを監視してきました。

それによりますと、主に、中国の圧力に対抗する姿勢を示す与党の民進党の頼清徳氏を批判、攻撃する動きが11月ごろからフェイスブック上などで相次いで展開されたほか、ネットの闇サイトに台湾当局が市民などへの監視を行っていることをほのめかす情報がリークされたことが確認されたということです。

この情報は、台湾当局が否定していて、セキュリティー会社は、台湾では使われない簡体字が入っているなど、不自然な点があり、情報の信憑性は低く、政権与党をおとしめるための動きだとみています。

また、12月末には、フェイスブックで、民進党を批判する投稿などを繰り返していたページに、別の複数のアカウントが突然、野党の1つ、民衆党の候補を批判する書き込みを始めたことも確認され、こちらは、間接的に国民党を支援する動きとみています。

また、ネットの掲示板で蔡英文政権の政策を批判する動画を投稿したアカウントを詳しく解析した結果、台湾にあるルーターが何者かにハッキングされ乗っ取られ、投稿に使われていたことが分かったということです。

こうした手口は、中国を背景とするハッカー集団が行う特徴的な手法で、中国の関与が疑われるとしています。

「TeamT5」の最高技術責任者の李庭閣さんは「私たちの観察から、非常に強い自信を持って言えることは、偽情報や影響力工作は中国によるものであるということです。中国の文化を広め親中派をひきつけようとしています。中国を支持する候補者への投票を促そうとしている」と話しています。