輪島市の障害者施設「1.5次避難所」へ 不安感から泣き出す人も

能登半島地震で被災し断水が続いている石川県輪島市の障害者施設では、利用者やその家族30人余りを一時的な受け入れ先となる羽咋市の「1.5次避難所」に移しました。
一方で、環境の変化を受け止めるのが難しい障害者に配慮した避難先の確保が課題になっています。

輪島市の障害者施設「一互一笑」では通常、通所での就労支援などを行っていますが、地震の発生直後から「福祉避難所」として、同じ法人のグループホームや地域の障害者、それに高齢者なども受け入れています。

しかし、断水が続く中でトイレを流すことができないなど衛生面の環境が悪化し、感染症が拡大するおそれがあることなどから13日、一時的な受け入れ先となる「1.5次避難所」への移送が行われました。

知的障害や精神障害のある利用者やその家族など34人は6台の車に分乗し、石川県などが確保した羽咋市の「国立能登青少年交流の家」へ移りました。

利用者らはそれぞれの荷物をまとめて車に積み込むなどしていましたが、環境の変化を受け止められず不安感から泣き出してしまう人もいて、職員が「みんなで行くから大丈夫だよ。落ち着いたらまた帰ってこられるよ」などと声をかけていました。

このあと利用者らはおよそ3時間かけて羽咋市の「1.5次避難所」の「国立能登青少年交流の家」に移り、今後、2次避難先の障害者施設などが決まるまで、この避難所で暮らすということです。

避難した75歳の男性は「避難先で医療機関にかかれるのかや、この先の生活がどうなっていくのか不安です」と話していました。

避難先の確保に課題も

施設を運営する社会福祉法人によりますと、障害者の中には環境の変化を受け止めるのが難しい人も多いため、個室の確保や同じスタッフによるケアの継続が重要になりますが、そうした環境が整った避難先がなかなか見つからないという課題があるということです。

この施設では14日も残った家族を移すほか、2次避難所の確保に向けて他の県の福祉施設と直接交渉しているということです。

社会福祉法人弘和会の畝和弘理事長は「1.5次避難所に長い期間とどまりたくないが、現実には集団で避難できるような2次避難のための大きい施設がなかなか無いため、行政の力を借りながら探していきたい」と話しています。