岸田首相 被災地視察 生活再建へ新たに1000億円超の支出を決定

岸田総理大臣は、能登半島地震のあと初めて石川県を視察し、被災者の生活再建に向けた支援パッケージの実行のため、予備費から新たに1000億円を上回る規模の支出を決定するとともに、復旧工事を国が代行できるよう「非常災害」への指定を急ぐ方針を明らかにしました。

午後 知事らと今後の対応協議

岸田総理大臣は14日、県庁で馳知事らと今後の対応を協議しました。

石川県の馳知事は意見交換会のあと、記者団に対し「岸田総理大臣からは被災者の意見に丁寧に耳を傾け、必ず地元に戻れる見通しが立つよう自治体のトップと協力して取り組むという力強い言葉をもらった。財政支援についても明言してもらい心強い」と述べました。

一方、岸田総理大臣は記者団に対し、現在策定を進めている被災者の生活やなりわいの再建に向けた支援パッケージについて「インフラやライフラインの復旧、仮設住宅の確保のほか、中小企業や農林水産業の再建などを幅広く盛り込み、可及的速やかに取りまとめたい」と述べました。

そしてパッケージの実行のため、予備費から新たに1000億円を上回る規模の支出を月内に決定する方針を明らかにしました。

さらに支援を切れ目なく行うため増額する方針の新年度予算案の予備費について「5000億円から1兆円に倍増する。あさってにも変更を閣議決定した上で国会に提出し、1日も早い成立を目指す」と述べました。

また、道路などインフラの復旧工事を国が代行できるよう、大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定するための手続きも急ぐとともに、雇用維持のため、雇用調整助成金の助成率を引き上げ、支給日数を延長する特例措置を今月1日にさかのぼって適用する考えを示しました。

正午ごろ 珠洲市の避難所を訪問

岸田総理大臣は正午ごろから、避難所となっている珠洲市の緑丘中学校を訪れ、避難している人たちから話を聞きました。

この中で女性の1人は2次避難をめぐり「子育て世代としては、地元に仕事があり、学校のこともあるので難しい」などと訴えました。

これに対し岸田総理大臣は「2次避難で一時的によそに避難するとしても、必ず将来戻ってこれるという安心がないと、外に行く決心もできないと思う。仮設住宅などの環境整備を並行して進め、将来の見通しが立つよう念頭に置きながら応援していきたい」と声をかけていました。

岸田総理大臣はこのあと、石川県庁で馳知事らと今後の対応などについて意見を交わすことにしています。

午前 輪島市の避難所を訪問

岸田総理大臣は避難所となっている輪島中学校を訪れ、応対した関係者は「住民は今後の生活が気がかりで2次避難先に移りづらい」などと現状を説明したほか、「1日も早く仮設住宅がほしい」とか「感染症の患者が相次いでいる」と実情を訴えました。

これに対し岸田総理大臣は「大変な状況が続いているが、皆さんの思いをしっかり受け止めて全力で引き続き頑張るので、どうか心を強く持ってほしい」と述べ、2次避難に向けた支援や仮設住宅の整備などに全力を挙げる考えを示しました。

午前 陸自のヘリコプターで輪島市に到着

岸田総理大臣は14日午前、陸上自衛隊のヘリコプターで輪島市にある航空自衛隊輪島分屯基地に到着し、捜索活動や物資の輸送などにあたっている自衛隊の部隊や警察・消防を激励しました。

岸田総理大臣は「雪が降り、寒さの中、大変過酷な環境の中で頑張っていただいている。被災された皆さんに寄り添い、心を通わせ、不安にしっかりと応えるよう心からお願いしたい」と述べました。