【14日詳細】戦闘開始から100日 人質解放交渉進展見られず

イスラエル軍は、イスラム組織ハマスとの戦闘が始まってから100日となった14日もパレスチナのガザ地区での軍事作戦を続けています。

ネタニヤフ首相はハマスの壊滅を目指す姿勢を崩しておらず、住民の犠牲が増え続けるなか、中東各地ではハマスに連帯する勢力との戦闘の拡大も懸念されています。

イスラエル軍 ガザ地区で軍事作戦 ハマス戦闘員9人殺害と発表

イスラエル軍は、ハマスによる大規模な襲撃を受けてから100日となった14日もガザ地区での軍事作戦を行い、南部ハンユニスでハマスの戦闘員9人を殺害したと発表しました。

ガザ地区の保健当局は13日、これまでの死者数は2万3843人に上ると発表し、国連によりますと住まいを追われた住民はガザ地区の人口の85%以上にあたる190万人に上っています。

ヒズボラがイスラエル兵士を攻撃の映像公開 戦闘拡大の懸念

レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは13日、イスラエル軍の兵士を攻撃する映像を公開し、これに対しイスラエル軍は、国内に侵入したヒズボラの戦闘員4人を殺害したとしています。

さらに、紅海を航行する船舶への攻撃を繰り返しているイエメンの反政府勢力フーシ派は、アメリカ軍などが13日までに行った空爆に対し報復する構えを見せていて、中東各地では、ハマスに連帯する勢力との戦闘の拡大も懸念されています。

戦闘開始から100日 人質解放めぐる交渉 進展見られず

イスラエルのテルアビブでは13日夜、ガザ地区で拘束されているとみられる人質130人以上の解放を呼びかける24時間の集会が始まりました。

人質の家族や支援者などが解放を訴えるスピーチをすると、集まった人たちは「いますぐ解放を」などと一斉に声を上げていました。

息子が人質になっている男性は「政府はどんな対価を払ってでも人質を連れ戻すべきだ。愛する人たちが生きて帰ってくるためにも、新たな交渉が実現することを願う」と話していました。

こうした中、イスラエル首相府は12日、ハマス側とカタールを通じた交渉の結果、人質に必要な医薬品を届け、その引き換えにガザ地区への支援物資としてより多くの医薬品の搬入を認めることで合意したと発表しました。

しかし、人質の解放をめぐる交渉には進展が見られません。

ハマスは交渉に応じる条件として、イスラエルによるガザ地区への軍事作戦の停止を求めていますが、イスラエル軍は攻撃を続けていて南部ハンユニスなどでハマスの戦闘員を殺害したと13日、発表しました。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、南部ラファの住宅へのイスラエル軍の爆撃で2歳の女の子を含む14人が亡くなったと伝えていて、ガザ地区の保健当局は13日、これまでの死者数は2万3843人に上るとしています。

地元メディアでは今月、ハマスが人質を段階的に解放するのと引き換えに、イスラエル軍がガザ地区から撤退し、ハマスの指導者を他国に亡命させることをカタールが提案していると報じられました。

しかし、ハマスは報道の直後にこれを否定し、イスラエル側も「双方はいかなる合意からも程遠い」とコメントしています。

集会に集まった人たちは

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから14日で100日となるのを前に、イスラエルのテルアビブ中心部の広場では、一刻も早い人質の解放を実現するよう訴える集会が開かれました。

38歳の息子が人質になっているギラド・コンゴルドさんはNHKの取材に対し「人生のすべてが変わってしまった。政府はどんな対価を払ってでも人質を連れ戻すべきだ。愛する人々が生きて帰ってくるためにも新たな交渉が実現することを願う」と訴えていました。

また、友人が人質になっているという30代の女性は「もうすぐ100日がたってしまう。こんな状況は受け入れられない。政府は人質のことを最優先に考え、何らかの合意を見いだすべきだ。どんな条件であっても人質全員を連れ戻すことを優先すべきだ」と話していました。

イスラエル ネタニヤフ首相「完全に勝利するまで戦いを続ける」

イスラエルのネタニヤフ首相は13日、ハマスとの戦闘が始まってから100日となるのを前に演説し、ガザ地区での軍事作戦を続ける考えを改めて示しました。

この中で「われわれはハマスの壊滅と人質の解放、そしてガザ地区を今後、イスラエルへの脅威にさせないという目標を達成し、完全に勝利するまで戦いを続ける」と強調しました。

そのうえで国際司法裁判所で軍事作戦の停止を求める訴訟の審理が行われていることやイエメンの反政府勢力フーシ派などとの緊張が高まっていることに触れ「国際司法裁判所も悪の枢軸も誰もイスラエルをとめることはできない」と述べ、一連の動きが作戦の継続には影響しないという強気の姿勢を示しました

UNRWA 事務局長「この100日は100年にも感じられた」

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから100日となるのに合わせてUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長は13日、声明を発表し「この100日間のおびただしい死や破壊、退避、飢え、喪失、悲しみはわれわれが共通してもつ人間性を汚してきた」と厳しく非難しました。

ラザリーニ氏は、ガザ地区に暮らす住民の多くが避難先を転々することを余儀なくされ、心身ともに深刻な影響が及んでいるとした上で「140万人以上の人にとって過密で不衛生なUNRWAの避難所が『わが家』になってしまった。過酷な環境で暮らし、刻々と飢餓に近づいている」と指摘し、深刻化する人道危機の現状を訴えました。そして「たび重なる呼びかけにもかかわらず、ガザ地区の人々への殺りくを止め、食料や医薬品、水、避難所を安全に提供するための人道的な停戦は実現していない。ガザ地区の人たちにとってこの100日は100年にも感じられた」と述べ、一刻も早い停戦を求めています。