台湾総統選 民進党・頼清徳氏が当選 立法院は過半数維持できず

13日に投票が行われた台湾の総統選挙で、与党・民進党の頼清徳氏が550万票を超える票を獲得し、野党の2人の候補者を破って当選しました。台湾で1996年に総統の直接選挙が始まってから初めて、同じ政党が3期続けて政権を担うことになります。

一方、同時に行われた議会・立法院の選挙では民進党が過半数を維持できず、5月に就任する予定の頼氏は難しい政権運営を強いられることになりそうです。

4年に1度行われる台湾の総統選挙には、与党・民進党から今の副総統の頼清徳氏、最大野党・国民党から現職の新北市長の侯友宜氏、野党第2党・民衆党から前の台北市長の柯文哲氏のあわせて3人が立候補しました。

投票は13日に行われ、即日開票の結果、
民進党の頼清徳氏 558万6019票、
国民党の侯友宜氏 467万1021票、
民衆党の柯文哲氏 369万466票で頼氏が当選しました。

投票率は71.86%で、前回4年前より3ポイントあまり低くなりました。

中国との向き合い方が争点の1つ

選挙戦では、中国との向き合い方が争点の1つとなり、中国の圧力に対抗する姿勢を示す与党・民進党が政権を維持するのか、中国との対話や交流拡大などを訴える野党が政権交代を実現するのかが焦点となりました。

頼氏は、「中国と台湾は別だ」という立場で、アメリカなどとの連携を強めて中国を抑止しようという現職の蔡英文総統の路線を継承すると訴えました。

これに対し、野党の2人は、頼氏がかつて「自分は現実的な台湾独立工作者だ」と発言したことを執拗にとりあげ、なかでも侯氏は「民進党政権が台湾海峡の両岸に武力衝突の危機をもたらした」と批判し「両岸の交流を密にして衝突のリスクを下げる」と主張しました。

しかし、中国当局が今回の選挙を「平和か戦争かを選ぶものだ」と定義して台湾の選挙への介入ともいえる姿勢を示すなか、侯氏らの主張に支持は広がりませんでした。

頼氏はことし5月に就任する予定で、台湾で1996年に総統の直接選挙が始まってから初めて、同じ政党が3期続けて政権を担うことになります。

民進党の頼清徳氏が勝利を宣言

与党・民進党の頼氏は日本時間の午後9時半すぎ記者会見し勝利宣言しました。

この中で頼氏は「選挙イヤーの最も注目された最初の選挙で、台湾は民主主義陣営の勝利を成し遂げた」とした上で「民主主義と権威主義の間で、台湾は民主主義の側に立つことを選んで全世界に示した。台湾の人たちはみずからの行動によって、外部勢力の介入を食い止めることに成功した」と述べました。

頼氏は「台湾海峡の平和と安定を維持するのが総統としての重要な使命だ。ごう慢にもならず、卑屈にもならず、現状を維持する。対等と尊厳を前提とし、対抗に代えて対話を行い、自信を持って中国との交流と協力を進め、台湾海峡両岸の人たちの福祉を増進し、平和共栄の目標を達成する」と述べました。

一方で「中国の言論や武力による脅しに対して、私には台湾を守る決意もある」と述べました。

頼清徳氏 勝因は

頼清徳氏は今回の選挙戦で、この8年間、政権を担ってきた民進党・蔡英文総統の路線を継続することを訴え、「現状維持」を望む幅広い層に支持を広げたものとみられます。

今回の選挙で大きな争点のひとつとなった中国との関係について頼氏は「台湾は中国の一部だ」という中国の主張を認めず、アメリカなどとの関係強化によって中国に対抗しようという姿勢を強調していました。

選挙戦では「台湾は世界の台湾であるべきだ。中国に頼る過去の路線に後戻りしてはいけない」と訴えてきました。

また、副総統候補として台湾当局の駐米代表を務めた蕭美琴氏とコンビを組み内外にアメリカとの関係強化の路線を継続する姿勢を示したことも受け入れられたとみられます。

さらに選挙戦では若い世代が関心を寄せる住宅対策や子育て政策など内政に力を入れることもアピールしました。

根強い人気のある現職の蔡英文総統のもとで副総統を務めた頼氏は、今回、幅広い層からの支持を得たものとみられます。

蔡英文総統 「台湾の人々は民進党政権の継続を選んだ」

蔡英文総統は日本時間の13日午後10時すぎに与党・民進党の集会で演説し「私たちは世界に向けてどのような困難もどのような抑圧も民主主義への信念をくじくことはできないと証明した」と述べました。

そのうえで「きょうの選挙の結果、台湾の人々は民進党政権の継続を選んだ。私たちは与党として着実に前進するとともに台湾をさらに強くしなければならない」と強調しました。

そして「選挙の終わりは、団結の始まりだ。きょう誰に投票しようと、民主的な台湾は再び新たな一歩を踏み出した。あすから私たちはともに台湾のために努力しよう」と呼びかけました。

【動画】盛り上がる頼清徳氏の陣営(午後9時すぎ)

民進党の頼清徳氏の陣営の様子です。(サタデーウオッチ9で放送 データ放送ではご覧いただけません)

頼氏 一夜明けすぐ 日本の窓口トップや国会議員と会談

当選した頼氏は14日朝、台北市内の民進党本部で日本の台湾に対する窓口機関、日本台湾交流協会のトップの大橋光夫会長と会談しました。

この中で頼氏は、能登半島地震で亡くなった人への哀悼と被災者へのお見舞いの気持ちを伝え、大橋会長は、台湾の人たちの思いやりに感謝しました。

そして頼氏が「日本は台湾にとって非常に緊密な民主主義のパートナーだ」と述べたのに対し、大橋会長は「日本の人たちは日台関係の重要性を理解している」と応じ、協力関係をさらに引き上げたいという考えで一致しました。

頼氏はこのあと、日本と台湾の交流を進める超党派の議員連盟「日華議員懇談会」の会長を務める自民党の古屋・元国家公安委員長と会談し、経済や文化の交流がさらに深まることに期待を示しました。

頼氏が、当選から一夜明けてすぐに日本の代表と会ったことは、対日関係重視の姿勢のあらわれと言えそうです。

米元高官が台湾訪問へ 頼氏と会談か

台北にあるアメリカの代表機関アメリカ在台協会は、アメリカ政府の元高官が、前例に従い、私人として14日から台湾を訪問すると発表しました。

訪問するのは、共和党のブッシュ政権で安全保障政策担当の大統領補佐官を務めたハドリー氏と民主党のオバマ政権で国務副長官を務めたスタインバーグ氏の2人で、15日に台湾の政治指導者と会談するということです。総統選挙で当選した民進党の頼清徳氏と会談するとみられます。

訪問では「選挙が順調に実施されたことにアメリカ国民の祝意を伝えるとともに、台湾海峡の平和と安定に対する我々の長年の関心を改めて表明する」としていて、中国が台湾への軍事的な圧力を強める中、台湾海峡の現状維持のために米台の連携を確認するねらいがあるとみられます。

一方で発表では元高官が前例に従い、私人として訪問することを強調していてアメリカと台湾の間の公的な往来に反対する中国を過度に刺激しないよう配慮を示したとみられます。

台北市民「生活を良くして」「安全を守って」

総統選挙から一夜明け、台北の市民からは新政権への期待などが聞かれました。

このうち、民進党の頼清徳氏に投票したという23歳の女性は「頼氏には、台湾の人たちの生活を良くしてほしい。仕事の機会をつくってほしい」と話していました。

また同じく頼氏に投票したという70歳の女性は「台湾の安全を守ってほしい。世界の人たちに台湾の民主主義を伝えてほしい」と話していました。

一方、国民党の侯友宜氏に投票したという45歳の男性は「結果は残念だ。頼氏には、彼に投票しなかった人たちの声に耳を傾け、安全保障や経済問題に取り組んでほしい」と話していました。

国民党の侯友宜氏が敗北を認める

国民党の侯氏は日本時間の午後9時ごろ支持者を前に「今回の総統選挙の結果について私個人の努力が足りず、非常に遺憾だ。政権交代を実現できず、皆さんを失望させた。私は心からおわびする」と述べ敗北を認めました。

侯友宜氏 敗因は

侯友宜氏は今回の選挙で大きな争点のひとつとなった中国との関係について、台湾の防衛力を強化しながら中国との交流を密にして衝突のリスクを下げると主張しましたが、幅広い支持が得られませんでした。

侯氏は、経済や教育などの分野で中国との交流拡大の必要性を訴え2023年11月にはFTA=自由貿易協定にあたる「経済協力枠組み協定」の協議再開や中国人観光客の受け入れ、それに中国人学生の台湾留学と台湾での就職を進める政策を打ち出してきました。

また、2期8年続いた民進党政権について中国との関係が悪化し交流が減っただけでなく、台湾では、汚職や不正が増えたなどと批判し政権交代を訴えてきました。

今回の選挙戦では、野党第2党の民衆党と連立政権を組む考えを強調し、柯文哲氏との候補者の一本化を模索したものの実現しなかったこともあり、国民党以外の支持層の獲得につながらなかったとみられます。

民衆党の柯文哲氏も敗北を認める

民衆党の柯氏は日本時間の午後9時すぎ、支持者を前に「私はあきらめないので皆さんもあきらめないでほしい。私たちは必ず努力を続け、4年後、自信をもって柯文哲と民衆党に投票してもらえると信じる」と述べ、事実上、敗北を認めました。

柯文哲氏 敗因は

柯文哲氏は今回の選挙戦で「新たな勢力による政治の変革が必要だ」だとして、台湾でこれまで交互に政権を担ってきた民進党でも国民党でもないみずからが率いる民衆党によって政権交代をすべきだと訴えましたが、幅広い支持が得られませんでした。

また、今回の選挙戦では、立候補の届け出の締めきり直前に最大野党・国民党との候補者の一本化をめぐっていったんは合意したものの結局は実現しなかったことで、既成政党と組もうとしたというマイナスイメージなどから支持が広がらなかったものとみられます。

与党・民進党 立法院の選挙では過半数維持できず

一方、総統選挙と同時に行われた議会・立法院の選挙では、113議席のうち、国民党が52議席、民進党が51議席、民衆党が8議席を、それぞれ獲得しました。

民進党は改選前より11議席減らして過半数を維持できませんでした。

住宅価格の高騰などへの不満が与党に向かったことや、長期政権をけん制する有権者の心理が要因とみられ、頼氏は「われわれの努力が足りなかったことを意味する。虚心に反省すべき点だ」と述べましたが、難しい政権運営を強いられることになりそうです。

中国政府「民進党 民意を代表できない」

中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は13日の深夜に談話を発表しました。

この中で、総統選挙で当選した民進党の頼清徳氏の得票率が40%だったことや、議会にあたる立法院の選挙で民進党が過半数を維持できなかったことを念頭に「台湾地区の2つの選挙結果は民進党が決して主流となっている民意を代表できないことを示している」としています。

そして「今回の選挙は台湾海峡両岸の同胞がさらに親しくなろうという共通の願望を変えることはできないし、最終的に祖国が必ず統一されるという大勢も止めることはできない」としています。

その上で「国家統一を完成させるという立場は終始一貫している。『台湾独立』という分裂行動や外部勢力の干渉に断固反対する。台湾の関係する政党や団体などとの交流や協力を促進し台湾海峡両岸の融合発展を深め、平和的発展と祖国統一の大業を推し進める」として台湾統一への強い意欲を示しました。

また、中国外務省も報道官の談話を発表し、「台湾問題は中国の内政だ。台湾の情勢がどう変化しようが、世界には『1つの中国』しかないし台湾が中国の一部分だという基本的事実は変わらない」と主張しました。

中国のSNS 関連することば 検索できず

一方、中国のSNS「ウェイボー」では、13日の朝、台湾総統選挙に関連するキーワードが検索ランキングでトップになりました。

しかし、その数時間後、このキーワードを検索しようとすると「関係の法律と政策により、この話題の内容は表示されません」という文章が表示され、検索できなくなり、当局などが神経をとがらせていることが伺えます。

ただ、中国のSNS上には、当局などによる検閲をかいくぐることばを使っても民進党の頼清徳氏の当選をネット上で検索できないことを疑問視し「関係部門は台湾政策の失敗を直視する勇気がないのか」といったコメントもみられました。

アメリカ ブリンケン国務長官 頼氏に祝意

アメリカのブリンケン国務長官は13日、声明を発表し、当選した民進党の頼清徳氏に祝意を示すとともに「台湾の人たちは、確固たる民主主義の制度と選挙プロセスの強さを改めて示した」と歓迎しました。

その上で「アメリカは台湾海峡の平和と安定の維持や威圧や圧力とは無縁な平和的な解決に取り組んでいく。民主主義的な価値を持つアメリカと台湾の人々は引き続き、経済や文化などで連携を拡大していく」としています。

バイデン大統領 「台湾の独立を支持しない」

また、バイデン大統領は、13日、記者団から台湾総統選挙の結果について聞かれ「われわれは台湾の独立を支持しない」と述べました。

「台湾は中国の一部だ」という中国の立場を認識する、従来からのアメリカの政策に変更はないという立場を改めて強調した形です。

上川外務大臣 頼氏に祝意

上川外務大臣は談話を発表し「民主的な選挙の円滑な実施と頼氏の当選に祝意を表する。台湾はわが国にとって基本的な価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーで大切な友人だ。政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ 日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていく。台湾をめぐる問題は、対話により平和的に解決されることや地域の平和と安定に寄与することを期待する」としています。

外務省幹部 「中国への警戒感強め 今回の結果につながったか」

外務省幹部はNHKの取材に対し、「事前の予測通りの結果だ。中国側が選挙戦終盤に軍事的、経済的に圧力をかけたことや、偽情報などがあふれたことが、かえって中国への警戒感を強め、今回の結果につながったのではないか。日本としては、両岸問題の対話による解決が世界の平和と安定にとっても重要だと国際社会に働きかけていく」と述べました。

また別の幹部は、「頼氏が勝利したものの、民進党は前回・4年前ほどの票は取れなかった。どのような外交政策を打ち出していくのか注視していく必要がある」と述べました。

中国大使館「祝意表明は内政に対する重大な干渉」

上川外務大臣が祝意を示したことについて、東京にある中国大使館は14日、報道官の談話を発表し「日本の外務大臣が、公然と祝意を表明したことは、中国の内政に対する重大な干渉だ。強い不満と断固とした反対を表明する」として、日本側に抗議したと明らかにしました。そのうえで「“台湾独立”勢力にいかなる誤ったシグナルも送らないよう求める」などと日本側をけん制しました。

「台湾は中国の一部だ」と主張する中国政府は、頼氏のことを「台湾独立派」と非難していて、日本政府が頼氏に祝意を示したことに強く反発したかたちです。

また、中国外務省は、アメリカのブリンケン国務長官が台湾総統選挙で当選した民進党の頼清徳氏に祝意を示す声明を出したことについて「声明は『1つの中国』の原則に著しく違反し、『台湾独立』勢力に誤ったシグナルを送るものだ。中国はこれに強い不満を示し、断固反対する」としてアメリカ側に抗議したとしています。

イギリス キャメロン外相 「台湾の活力ある民主主義を証明」

イギリスのキャメロン外相は声明で、今回の総統選挙について「台湾の活力ある民主主義を証明するものだ」と指摘し、当選した民進党の頼清徳氏に祝意を示しました。

そのうえで「台湾海峡の両岸が、武力による威嚇を行うことなく、建設的な対話を通じて平和的に意見の相違を解決する努力を改めて行うことを願っている」としています。

EU 「いかなる一方的な現状変更の試みにも反対」

EU=ヨーロッパ連合は声明で、選挙に参加したすべての有権者に祝意を示すとしたうえで「台湾海峡の平和と安定が地域と世界の安全と繁栄にとって重要だ。EUは台湾海峡での緊張の高まりを懸念し、いかなる一方的な現状変更の試みにも反対する」と強調しました。

リトアニア ランズベルギス外相 「民主主義の力強さたたえる」

また、台湾との関係強化を進め、「台湾」の名を冠した出先機関「駐リトアニア台湾代表処」の開設を認めたことで中国から報復を受けているリトアニアのランズベルギス外相はSNSで頼氏に祝意を示し「台湾の人々とともにわれわれは、自由で公正な民主主義の力強さをたたえている」としています。

ロシア外務省 「台湾は中国の不可分な一部 台湾の独立に反対」

ロシア外務省のザハロワ報道官は13日、声明を発表し「台湾は中国の不可分な一部であり、ロシアはいかなるかたちでも台湾の独立に反対している」と強調しました。

そのうえで「台湾の選挙を利用して中国に圧力をかけ、台湾海峡や地域全体を不安定化させようとする特定の国々による試みは非生産的であり、国際社会は非難すべきだ」として中国を支持する姿勢を示し、アメリカなどをけん制しました。

パラグアイ大統領府 「頼氏に心からお祝い」

南米で唯一、台湾と外交関係を持つパラグアイの大統領府は13日「頼氏に心からお祝いを伝える。民主主義の責務を果たした台湾の人々を祝福する」との声明を出し、頼氏の勝利を歓迎しました。

頼氏は去年、南米各国の首脳とならんでパラグアイのペニャ大統領の就任式に出席していて、ペニャ氏はみずからのSNSで「私たちの国をより強くするために協力していく」と述べ、台湾とのさらなる関係の強化に期待を示しました。

記者解説 中国 民進党政権への揺さぶり機能せず

中継 北京 中国総局・須田正紀記者(日本時間13日午後11時ごろ)

これまでのところ、中国政府の反応は出ていません。国営メディアも民進党の頼清徳氏の勝利宣言などについて一切伝えていません。

ただ、中国は台湾での政権交代をあからさまに望んできましたので、逆の結果が確実となり、いらだちを深めていると思われます。

習近平国家主席は、「祖国統一は歴史の必然だ」と述べ台湾統一への強い意欲を繰り返し強調してきました。

中国政府はこれまで台湾の民進党政権に硬軟織り交ぜたさまざまな方法で揺さぶりをかけてきましたが、今回、それが機能しなかったことが浮き彫りになった形です。

今後、台湾に対する圧力を強めるのは間違いないと思います。アメリカ政府の高官は、選挙のあと非公式の代表団を台湾に派遣すると明らかにしています。

今後、台湾がアメリカや日本などと連携する動きに対し、中国がより強硬な手段に出てくる可能性はないのか、注視していく必要があります。

記者解説 アメリカ バイデン政権 民進党政権の継続に安どか

中継 ワシントン支局 渡辺公介記者(日本時間13日午後11時ごろ)

アメリカメディアは頼氏が勝利宣言すると、相次いで速報で伝え、関心の高さがうかがえます。

バイデン政権は、公式な反応を示していませんが、民進党政権の継続が確実になったことで「くみしやすい」と受け止めているとみられます。

特に、副総統に就任することになる蕭美琴氏は去年11月まで、ここワシントンで台湾当局の駐米代表を務め、党派を超えた信頼を集めてきたこともあり、台湾の防衛力強化の継続性という観点からも、安どしていると思います。

一方で懸念しているのは、中国の反応です。バイデン政権は、頼氏を「独立派」だとして警戒感をあらわにしてきた中国が、台湾への軍事的な圧力を一段と強化し、地域を不安定化させる可能性があると見ています。

バイデン政権としては、ウクライナと中東で2正面の対応を強いられているいま、台湾海峡で緊張が高まることは何としても避けたい立場です。

アメリカでもことし11月には大統領選挙があります。再選を目指すバイデン大統領としては、国内問題に集中する上でも中国との対立が先鋭化することがないよう、状況を注視していくものと見られます。

【動画】各陣営の様子 午後7時すぎ

民進党の頼清徳氏、国民党の侯友宜氏、民衆党の柯文哲氏の陣営の様子です。(ニュース7で放送 データ放送ではご覧いただけません)