孤立状態 少なくとも793人「1時間歩き食料調達」石川【13日】

石川県によりますと、13日午後2時の時点で輪島市、珠洲市、能登町の少なくとも15地区、793人が道路が通れなくなるなどして、依然、孤立状態になっているということです。

孤立状態になっている地区です。

▽輪島市
▼大屋地区の28人、▼鵠巣地区の6人、▼町野地区の16人、▼南志見地区の39人、▼西保地区の416人、▼浦上地区の1人、▼七浦地区の2人、▼三井地区の11人など

▽珠洲市
▼真浦町の3人、▼清水町の8人、▼片岩町の35人、▼長橋町の45人、▼大谷町の170人

▽能登町
▼水滝地区の5人、▼柳田信部地区の8人

孤立状態になっているのは、あわせて少なくとも15地区、793人にのぼります。

このほか、孤立状態は解消されたものの、道路の状態などが不安定だとして引き続き支援が必要な「要支援集落」が多くあるということです。

孤立続く 能登町 水滝地区では

被災前の画像です

水滝地区は市街地などと通じる道路が土砂崩れで寸断されていて、男性の世帯を含めた2世帯5人が現在も孤立しています。

国土地理院が今月5日に能登町の様子を上空から撮影した画像です。

道路を700メートルほど北方向に行くと水滝地区、南方向は市街地につながりますが、被災後の画像を見ると、崩れた土砂や倒れた木が道路を覆っている様子が確認できます。

「1時間 歩いて食料を調達」

山あいにある自宅で90歳の母親と避難生活を続けている男性は、現状の暮らしについて「自宅は塀などが崩れましたが建物は倒壊せずに残りました。電気は1週間ほどで復旧し、水は井戸水でまかなっていますが、プロパンガスと灯油の残量が少ないため、ストーブはあまり使わないようにしていてコタツに入っていますが、それでも寒いです。食料は幸い米はまだ少しありますが、それ以外の食料は道路が土砂や倒木などで寸断されて車が使えないので、市街地まで1時間ほど歩いて調達しています。歩きのため大量に買い込むことができず、必要最小限の買い物しかできません」と話していました。

その上で「地震が起きるたびに今後どうなるのだろうかと不安になり、眠れない時もあります。いまは早く道路を開通してほしいと願っています。開通さえすれば車も使えるようになり、ガスのような重い物も運搬できるし、今までの暮らしに少しは戻ることができると思っています」と訴えました。

孤立の解消進む 輪島市 七浦地区では

地震で大きな被害を受けた人口およそ350の石川県輪島市七浦地区。

この地区に住む東栄一さん(73)は、現状を知ってもらいたいと携帯電話で動画の撮影を続けています。

13日午前7時ごろ撮影した動画には、停電が続きうす暗い部屋の中で灯油ストーブをつけ、ラジオでニュースを確認しています。

午後には、横殴りの雨や雪が降り、風も強い中、自衛隊が運んできた支援物資の食料を受け取るため地区内の拠点となっている施設に出かけます。

13日はレトルトの牛丼と親子丼で、東さんは「食事は基本的に支援物資です。ありがたいですが、栄養の偏りが心配です」と話していました。

一方、七浦地区につながる県道は時間帯を区切って通れるようになったということで、孤立状態はほぼ解消されつつあり、仮設住宅の申し込みが始まったということです。

「お風呂に入れれば」

東さんは「寒さが増していますが、公民館では灯油ストーブを囲んで寒さをしのいでいます。13日間、お風呂に入れておらず、給水車が来て、お風呂に入れればと願っています。ただ、道路の復旧が進んでいることは朗報で、生活環境が改善されることを願っています」と話していました。

輪島 七浦地区 一時孤立の住民「いつまで続くのか不安」

1月1日の能登半島地震の影響で、石川県輪島市の七浦地区では市街地に通じる道路が土砂崩れで通れなくなるなどして、およそ350人が孤立状態となりました。

その後、道路の復旧が進み、県によりますと13日午後2時の時点で地区の孤立状態はほぼ、解消されましたが、停電や断水が続き、住民は厳しい生活を強いられています。

この地区の輪島市門前町井守上坂の夫と娘の家族3人で暮らしている坂下芳枝さん(77)は、自宅に大きな被害は無かったということですが、外部と連絡が取れない状態が続いていたということで「道路が通れるようになった今月10日ごろに自宅の固定電話がつながるようになり、友人からの電話で県が発表している安否不明者のリストに自分や家族が入っていたことを知りました。元旦で料理をたくさん作り置いていたので、孤立状態が続いても家族3人でなんとかしのげましたが、集落の被害の状況を誰も調べに来なかったので、とても不安でした」と振り返りました。

今は、近所の公民館に届いた食料を受け取りながら、自宅で生活を続けていますが停電や断水は続いているということで、坂下さんは「道路が復旧し、車で市街地に出られるようになりましたが、道が狭く運転に慣れていないと危ない状況で、まだ家を出るのが難しいです。携帯電話の電波も通じにくいので被害や支援の情報を得られず、この先、いつまでこうした生活が続くのか不安です」と話していました。

孤立地区から避難の男性「生活できる状況ではない 救助急いで」

孤立している人数が石川県の発表で最多となっている輪島市の西保地区から避難した男性が取材に応じ、今も避難できず集落に残っている人たちについて「電気も水道も止まっていて生活できるような状況ではないので救助を急いでほしい」と訴えました。

石川県の発表によりますと、輪島市の西保地区では、13日午後2時の時点で400人余りが孤立しています。

西保地区の西二又町で被災した折戸邦栄さん(73)は「自宅前の道路が崩れて集落が孤立してしまったため、4日ほど車で寝泊まりし、その後は隣に住む人の家で自衛隊から支援物資を得ながら過ごしました。地震が経過するにつれて、妻の体調が悪化したためヘリコプターで早く救助してほしいと自衛隊に要請したところ、きのう(12日)、消防ヘリが救助にきてワイヤーでつり上げられて避難することができました」と話しています。

その後、妻は金沢市内の病院に入院し、折戸さんは一緒に避難した娘と孫と石川県能美市内の親族の家に身を寄せたということです。

折戸さんは「集落は電気も水道も止まっていて、生活できるような状態ではありませんでした。まだ救助されていない人は早く救助してあげてほしい。自宅の場所は生まれてからずっと暮らしてきた場所ですが、今後どこで暮らしていけばいいのか考えると不安です」と話していました。

孤立状態続く輪島 西保地区 徒歩で避難した人も

孤立状態が続いている輪島市西保地区の住民の中には徒歩で車が通れる場所まで移動して、金沢市まで避難した人もいます。

西保地区上山町の70代の男性の住んでいた集落は、地震の影響で道路が車で通れなくなって孤立状態になったほか、電気や水道、電話も止まっているということです。

これまで集落の人と助け合いながら自衛隊が届けた食料などの物資で生活を続けていましたが、13日、弟や周辺の住民など合わせて6人で雪が10センチほど積もった道をおよそ1時間歩き、車が通れる場所まで移動したということです。

そして、金沢市に住む妹と連絡を取って、車で迎えに来てもらうことができたと言います。

男性は「大変だったが、なんとか金沢市まで来て、落ち着けそうでよかった」と話していました。