米英のフーシ派拠点攻撃 国連安保理で緊急会合

中東のイエメンで反政府勢力フーシ派の拠点にアメリカ軍とイギリス軍が攻撃を行ったことを受けて、国連の安全保障理事会で緊急会合が開かれました。

両国が国際法に合致した自衛のための対応だったと説明したのに対して、ロシアは「地域を不安定にするものだ」として強く非難しました。

国連安保理の緊急会合は12日、ロシアの要請で開かれ、ネベンジャ国連大使はアメリカとイギリスの攻撃について「地域を不安定にするもので、事態の悪化が続けば中東地域全体が大惨事に直面することになりかねない。すべての責任は、国際社会が求めるガザ地区での停戦を阻むアメリカとその仲間にある」と述べて強く非難しました。

これに対してアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「攻撃は、商業船に無謀な攻撃を続けるフーシ派の能力を低下させるためのもので、国際法に合致し国連憲章に定められた自衛権の行使だ」と述べ、イギリスのウッドワード国連大使も「自衛のための限定的で必要かつ相応の行動だ」と説明しました。

このほかの各国は、紅海でフーシ派が船舶への攻撃を繰り返していることを非難する一方で、アフリカの理事国などからは名指しは避けながらも、地域の緊張を高める行為は避けるべきだと懸念を示す意見も出されました。

国連事務総長「事態悪化させてはならない」

アメリカ軍とイギリス軍がイエメンの反政府勢力、フーシ派の拠点に対して攻撃を行ったことについて、国連のグテーレス事務総長は12日、報道官を通じて声明を出しました。

この中で、グテーレス事務総長は、国連安全保障理事会で今月10日、フーシ派に対して紅海での商業船への攻撃を直ちにやめるよう求める決議が採択されたことに触れ「決議は完全に尊重されなければならない」としました。

そのうえで「すべての関係者に対して紅海と地域の平和と安定のため事態をこれ以上、エスカレートさせないよう求める。イエメンの状況をさらに悪化させかねない行為を避ける必要がある」と強調しました。

声明では、アメリカ軍とイギリス軍の攻撃について、直接、言及していませんが、グテーレス事務総長としては、地域で緊張が高まることを避ける努力をするよう両国にも呼びかけたかたちです。